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冷蔵室から「見える」野菜室 アクア新冷蔵庫の狙いは

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NIKKEI STYLE

アクアが2019年11月に発表した冷蔵庫「Delie(デリエ)」シリーズ。驚くのは冷蔵室を開けると、下段の野菜室の中身を確認できることだ。このユニークな発想はどうして生まれたのか。自宅とは別に一戸建ての「家電ラボ」を用意し、大型の白物家電のレビューも多数行っている家電プロレビュアーの石井和美さんが、同社のマーケティング本部冷蔵庫企画グループディレクター、山本陽護氏に話を聞いた。

◇  ◇  ◇

――製品の話の前に、まずアクアという会社について聞かせてください。実はまわりから「アクアってどんな会社?」と聞かれることが多いんです。三洋電機の流れをくむ会社だとはわかっているけれど、海爾集団(ハイアール)との関係もよくわからないという人も多くて。

2011年に三洋電機の冷蔵庫・洗濯機事業(家庭用・業務用含む)が大型家電シェア世界No.1の中国ハイアールグループに事業譲渡されて、2012年に誕生したのがアクアです。

当時、ハイアールブランドはすでに日本で展開していましたので、それとは別にAQUAは旧三洋電機で培われた技術を使った新しい家電ブランドとして日本市場にデビューしたわけです。

――ちなみに表記的には会社名が「アクア」で、ブランド名が「AQUA」なんですね。

はい。アクアという会社の由来は、三洋電機の時に使っていた洗濯機の愛称です。 「空気で洗う」というエアウォッシュ機能を搭載した洗濯機があったのですが、そのネーミングがAQUAでした。AQUAというブランドの知名度はまだ低いかもしれませんが、コインランドリーなどで使われる業務用洗濯機では、シェア69%を誇っています(※2019年国内コインランドリー機器出荷台数において。アクア調べ)。

――確かに最近、コインランドリーの進化について取り上げる記事などを見ると、「AQUA」と書かれた洗濯機を見ることが多いですね。AQUAの製品は日本向けに開発されたものなのですか。

そうです。ハイアールブランドは本国で開発・設計した商品を日本仕様にカスタマイズして販売していますが、アクアは日本のライフスタイルに合わせ、日本の開発センターで独自の設計を織り込んだオリジナル製品を展開しています。そこに旧三洋電機の技術力も生きているわけです。ちなみに今回のテーマであるDelieシリーズは、もともと三洋電機の家電製品を長く作り続けてきたタイのグループ工場で作っています。日本向けの製品は細かな気配りが必要なので、作り慣れているところで製造するのが大切なんです。

冷蔵庫から見渡せる「見える」野菜室

――そのDelieシリーズを発表会で初めて見たとき、とても驚きました。冷蔵室の扉を開くと、冷蔵室の下に、野菜室の野菜が見えるんですから。

野菜室を真ん中に配置し、冷蔵室の底を強化処理ガラスにすることで、冷蔵室から野菜室全体を見渡せるようにしたのがポイントです。従来の野菜室だと、奥のほうにある野菜は見にくく、気づかずに腐らせてしまうことがあります。一番開ける機会が多い冷蔵室から見えるようにすることで、野菜の状況が一目でわかるようにしたんです。

――冷蔵庫を開けるだけで野菜室に何が入っているかがわかるのは斬新ですよね。

開発にあたりいろいろな調査をしたんですが、小さなお子様がいる共働き家庭は本当に忙しくて、どうしても冷凍食品を使う機会が多くなる。でも「だからこそ野菜もきちんととらせてあげたい」と考えている家庭が多いことも見えてきました。そこで生まれたのがこの「見える野菜室」です。冷蔵室を開ければ一度に野菜室まで見渡せますから、何度も開けずに済むので楽だというお声をいただいております。

ただこの機能を追加しようとなったのが、設計も佳境の段階に入ったところだったので、技術陣から反対の声もありました。確かに従来の冷蔵庫では断熱材を間に入れて仕切っている場所を透明にするわけですから。冷気の流れや温度の制御を工夫しなければならず、実現するまでは技術陣とはかなり熱いディスカッションを繰り返しました(笑)。

――強化処理ガラスといっても、モノを落としたら割れるんじゃないかという不安は確かにありました。

実際、技術陣は安全面という点も懸念していましたので、実使用上、安全面を担保するために、技術陣とは徹底的に安全性について検証しました。上から重りや瓶や缶やら何度も何度も落として、さまざまなテストを経て安全性をクリアしました。

――本来、断熱材が入っていた冷蔵室の床を透明にすることで余分な電力がかかるなんてことはないんでしょうか。

冷蔵室の底をガラスにしたことで電気代が急激に上がるということはありません。野菜室と冷蔵室の温度差は少なくしているので、省エネに与える影響は少ないんです。省エネの達成率については2021年省エネ基準達成率100%をクリアしています。

ペットボトルはドアポケットへ

――この野菜室を見て便利だなと思ったのですが、「ペットボトルが入らない」とも思いました。野菜室にペットボトルを入れている家庭って多いですよね。

そうなんですよね。アクアでもこれまでは野菜室の手前にペットボトルを入れられるように設計していました。ただ、こうすると、野菜を入れられるスペースが減る、野菜が奥に入ってしまうので取り出しにくい、といったデメリットも出てくるのです。そこで、今回はあえて野菜に特化した野菜室にしました。

その代わりにドアポケットを大きくとり、2リットルのペットボトルが7本も入るように設計しています。

――チルドルームも広くて使いやすそうですね。左側に自動製氷機の給水タンクがないぶん、たくさん入りそうです。

本体幅60センチとスリムですが、給水タンクの位置を工夫してチルドケースは幅いっぱいまで使えるように設計しています。また、引き出しの上段はチルドではなく冷蔵スペースですが、細かいものを整理できるこのスペースは使いやすいというお声を我々が思っていたよりも多くいただいています。

――日本のメーカーでは65センチや70センチ以上の冷蔵庫もありますが、Delieシリーズは60センチ幅のみですね。どうしてでしょうか。

お客様の住宅事情から、どうしても60センチ幅しか置けないという方も数多くいらっしゃるんですね。アクアでは、そのゾーンで使いやすい冷蔵庫を先に開発して市場に定着させることが大事だと考えています。

――まずは60センチからだと。

はい。Delieシリーズは、幅が60センチですが、コンパクトでありながら容量を増やすために断熱厚壁を極限まで薄くして、458リットルと430リットルの2タイプをご用意しました。今まではこのサイズだと400リットルくらいしか容量がなかったので、これだけの容量があることにみなさん、驚かれますね。ちなみに430リットルのほうは、背が低い女性やシニアの要望を反映したモデルで、背が低くなっています。

「氷が足りない」現代の暮らしに対応

――冷凍室も2段あって、かなり大きいですよね。

そもそもDelieシリーズは「冷凍室が足りない」という声が多かったので、60センチという限られた幅の中で冷凍室を極限まで大きく作ろうというところからスタートしました。

食生活のスタイルも変わってきていますので 冷凍室は絶対に減らせないのです。最近は市販の調理済み冷凍食品をまとめて購入したり、週末にたくさんおかずを作ってホームフリージングしたりして備蓄する方が多いんですね。また、日本の冷凍食品のレベルがアップしています。安全でおいしくなっていますので、冷凍食品を買って食事を済ませるという高齢者の家庭も増えていますから。

その結果、生まれたのがDelieシリーズの冷凍室です。ちなみに先ほど話に出た消費電力量の話も、冷凍室を大きくすると不利になります。夏場の外気温が30度以上になる高温多湿の日本ですから冷蔵庫の使用環境も過酷です。その点もDelieシリーズは試行錯誤の末、日本工業規格(JIS)の基準の中で一番厳しいフォースターと言われている基準をクリアしています。

――製氷スペースもすごく大きいですよね。こんなに大きい製氷スペースは他社では見たことがありません。

これも最近の生活スタイルの変化が影響しています。日本では夏になると子どもに熱中症対策として水筒を持たせる家庭が増えているんです。そのため、従来の製氷スペースだと水筒に入れる氷が足りないという事態が出てきています。

大人の飲み物にしても、酎ハイやハイボールなど、氷を使って飲む飲み物が日本市場でとても増えていますよね。年々、氷需要は増えているんです。そのため、氷のスペースを極限まで大きくしました。

――霜がつかない技術もすごいですよね。実際に、うちの家電ラボでは何台もの冷蔵庫をテストしているんですが、冷蔵庫によってはアイスクリームのフタの内側などに霜がつくことがあります。アクアの冷蔵庫はそれがない。どうしてですか。

それはアクアが特許を取得している独自技術の効果ですね。

冷蔵庫には冷却器というのが入っているんですが、冷やすと霜がつくんです。そのままでは霜だらけになってしまうので、必ず定期的に高温ヒーターで溶かします。ヒーターは高温になるので、その熱気が、マイナス18度くらいを保っている冷凍室に入って庫内の温度が上がり、カチンカチンに凍っていたものが少し溶け出してしまっていた。そのため、溶け出したものをまた冷やすときに、霜が発生するんですね。

外に溶け出したうま味成分も霜となってパックの中などについていることがあります。長期間、冷凍室で保存すると霜取り運転が何回も入りますから、「溶かす」「凍らせる」を繰り返して、うま味成分が抜けてしまうこともありました。

アクアが開発した「おいシールド冷凍」という機構は、霜取りをするときにシャッターで風路を閉じ、温度が上がらないようにしているんです。冷凍室なので長期保存のものもありますから、おいしいものをおいしいまま保存したいという思いがあり、いろいろ工夫しています。

◇  ◇  ◇

アクアのDelieを実際に使ってみると、冷蔵室から野菜室が見えるアイデアは秀逸で、とても見やすい。冷凍室もかなり大きく、「冷凍食品やフリージングした食品をたくさん使うけれど、健康のために野菜もとりたい」という、手間を省きながら健康にも気を配りたい人たちに支持されるコンセプトだと感じた。

山本さんの話を聞いていると、アクアが旧三洋電機の技術力や知見を生かしながら、子育て中の共働き世帯や高齢世帯など、現在の日本の住環境や働き方、世代に合わせた使いやすい冷蔵庫を開発していることが見えてきた。アクアというブランド名にあまりなじみがないという人たちも、ぜひ家電量販店で一度その製品を見てほしい。家庭の悩みを解決するアイデアがそこにあるかもしれない。

石井和美
家電プロレビュアー。白物家電や日用品などを中心に製品レビューを行う。レビュー歴15年以上。茨城県守谷市に家電をレビューするための一戸建てタイプ「家電ラボ」を開設。冷蔵庫や洗濯機などの大型家電のテストも行っている。

(写真 渡辺慎一郎)

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