パターンオーダーなら手ごろな価格で快適な履き心地

――最近は靴売り場に行くとフィッターさんが常駐しているところも多いですよね。

若松「うちでもフィッティングをものすごく重視しています。リーガル日本橋も店長の渡辺徹がフィッティングの教育を受けており、お客さまが最も快適に履けるものを選んでいます。最近はパターンオーダーに対するお客さまの関心も高まっていますね」

――靴底や革の種類がたくさん展示してあります。価格は4万6000円(税別)からですね。

若松「パターンオーダーの木型は細いもの、普通、太いものの3種類があります。基本的な革靴の種類はほぼすべて網羅しており、デザインは16種類ほどになりますね。選んでいただけるのはつま先のシルエット、素材の革、色、ソールなどで、フルオーダーに比べると手が届きやすい価格になっています」

石津「ファッションアイテムの中で靴は何もかも別世界です。なにせ60キロを超す体を支えているのですから。このくらいの値段であれば、若いうちから木型に合わせた靴を選ぶのもいいでしょう。いっそ、こう言ってもいいな。靴だけは最初からオーダーを履きなさい、とね。ほかのアイテムにかけられるお金があるなら、まず靴に投資する方がいい。機能を考えないで選ぶと70歳を過ぎてからそのツケがまわってくるよ」

1960年代半ばに売り出した、VANリーガルの当時のカタログ

――ところで、リーガルといえばかつてヴァンヂャケット(VAN)と組んで、VANリーガルと称したブランドの靴を売り出したことで有名です。今では当たり前になっているコラボの先駆けですね。

若松「(カタログを取り出して)これがVANリーガルがデビューした1965年ごろのカタログです。プレーントゥが4500円、ローファーが3800円とあります。当時の社名は日本製靴でした。リーガルを扱っていた米国のブラウン社と技術提携して、日本製靴がリーガルブランドをスタートさせたのが1961年です。当時はうちも細い靴ばかりで、丸っこいリーガルの靴は売りにくかった。VANさんと取り組んだおかげで大ヒットしたんです」

石津「リーガルはアメリカのビジネスシューズだから、英国のブランドと違って日本では知名度が低かったの。親父(石津謙介氏)はVANのトラッドなスタイルに合う靴を探しているなかで、リーガルを知ったのではないかな。でも親父は服装がイタリアンでしたから、靴もイタリアンだったんだけどね」

――VANリーガルが扱っていたのはプレーントゥ、ローファー、ウイングチップ、チャッカブーツの4種類。いまなお定番の紳士靴です。

石津「トラッドな男の革靴はずーっと進化してこなかったんです。そのくらいトラッドというものはかたくななんです。シングル3つボタンとダブルのスーツが同じ形のまま残っているのと一緒。だからスニーカーのようなまったく新しいものが出てくるとやられてしまうんだ。靴は身につけるものの中でも、下着と同様、肌感覚で機能性が体に響くものなんです」

若松「一度スニーカーの楽な履き心地を体験すると、定番の革靴に戻ってきてくれないのでは、という危機感はあります。だからといってリーガルはスニーカーに寄っていくわけではありません。ベーシックなビジネス用の革靴でも軽さや機能性を追求し、新世代にアピールしていきます」

――次回はビジネスシューズがどう進化したのかを見ていきましょう。

(聞き手はMen's Fashion編集長 松本和佳)

石津祥介
服飾評論家。1935年岡山市生まれ。明治大学文学部中退、桑沢デザイン研究所卒。婦人画報社「メンズクラブ」編集部を経て、60年ヴァンヂャケット入社、主に企画・宣伝部と役員兼務。石津事務所代表として、アパレルブランディングや、衣・食・住に伴う企画ディレクション業務を行う。VAN創業者、石津謙介氏の長男。

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