ボーイズグループ「JO1」 視聴者がメンバー最終決定

日経エンタテインメント!

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動画配信サービスは新たなスター輩出の場としても存在感を示している。3月4日にCDデビューした「JO1(ジェイオーワン)」は、GYAO!で配信されたサバイバルオーディション番組『PRODUCE 101 JAPAN』から生まれた。2019年9月の番組のスタートから今年のデビューまではたった5カ月。すでにソフトバンクやABCマートのCMの出演を決め、今後は海外でのパフォーマンスも予定。“配信発”としては、かつてない大型デビューだろう。

サバイバルオーディション番組『PRODUCE 101 JAPAN』。GYAO!で全12回にわたって配信された(C)LAPONE Entertainment

『PRODUCE 101 JAPAN』では101人の候補生から、11人の最終メンバーを決めた。決定権を持ったのは、「国民プロデューサー」と呼ばれる番組視聴者たちの投票だ。

「練習生」と呼ばれるメンバーは複数の課題に挑み、デビューの目標に向かって日夜努力を重ねる。視聴者はその姿を見ながら自分の「推し」を決め、彼をデビューさせるべく、日々コツコツと投票する。しかし、実力がある、頑張っているからといって、必ずしも報われるとは限らない。練習生は時を経るにしたがって、101人から60人、35人、20人と絞られていく。推しを持った国民プロデューサーは真剣だ。放送ごとに発表される順位に一喜一憂し、SNSで推しの魅力を発信し続ける人も少なくなかった。

そもそも番組のオーディションのフォーマットは、Wanna OneやIZ*ONEといった人気グループを生んだ韓国Mnetの番組。それを日本で展開したのは、吉本興業とMCIPホールディングス、韓国のエンタテインメント企業CJ ENMの合弁会社、LAPONEエンタテインメントだ。同社は12回の放送メディアに、配信サービス「GYAO!」を選んだ。「PRODUCE 101各話の放送時間は2時間ほど。しかし、地上波だと毎週長時間の枠を押さえるのはハードルが高い。また、スマホでも気軽に見られ、好きな時に見られる動画配信サービスの形式が、今の時代に合っていると考えました」(同社代表取締役社長の崔信化氏)。長時間の番組を20分程度に小分けしたバージョンも用意し、隙間時間に気軽に見られるように工夫した。

すでに韓国で大成功した実績のあるフォーマットといえども、運営は放送前、日本と韓国の国民性の違いを懸念していた「韓国は熱しやすく冷めやすいが、日本はそうではない。果たして韓国のような熱狂を作れるのかと」(崔氏、以下同)。実際に韓国の番組を見ていた日本のファンからも日本版の成功を危ぶむ声は少なくなかった。だが、番組放送前にテーマ曲のMVを公開すると、1日で再生回数100万回を突破。クオリティーの高い練習生たちのパフォーマンスと楽曲に、評価は一変した。当初は「韓国の投票数の半分を超えればいい」と考えていた初回投票数も、韓国を超えた。

動画コンテンツを大量供給

番組以外の動画が充実しているのも大きな特徴だ。本編未公開シーンをはじめ、練習生それぞれのPR動画やゲーム対決番組で披露したパフォーマンスだけを編集した動画や、パフォーマンス中の練習生それぞれを一人ずつ映した個別動画など膨大なコンテンツがアップされた。「韓国ではメンバーそれぞれの動画をアップすることはありますが、日本で、しかもここまでの人数に対して個別カメラを用意して撮影することは初めてかもしれません。面白い試みだったと思います」

大量の動画の供給は、決してファンサービスだけではない。何しろ視聴者は「国民プロデューサー」なのだから、個々の能力を見極めるのも大事な“仕事”。素材はいくらあっても多すぎることはない。この絶妙な立ち位置の設定も、熱狂を生んだ一つの要因だろう。

「地上波も大事ですが、時代がネットのサービスにシフトするなか、これまで有料でないと見せなかったコンテンツを無料で提供していきました。もちろんどこかで収益構造は作らなくてはいけませんが、『まずは大きなパイを作る』というスタンスで考えることで、熱狂度の高いファンが作れると考えています」

PRODUCE 101 JAPAN
世界で活躍するボーイズグループの誕生を目指す、サバイバルオーディション番組。2019年9月の初回放送に挑んだのは、約6000人の応募者から選抜された101人。「国民プロデューサー」と呼ばれる一般の視聴者の投票によって、11人のデビューメンバーが決まる。4回の国民投票の集計ごとに、練習生は減っていく。投票は、GYAO!などの特設サイトから1日1回可能。最終回は19年12月11日。全12回にわたって配信された。

(ライター 横田直子)

[日経エンタテインメント! 2020年3月号の記事を再構成]