肺炎を招く「誤嚥」 右と左?食後してはいけないこと
この記事では、今知っておきたい健康や医療の知識をQ&A形式で紹介します。ぜひ今日からのセルフケアにお役立てください!
(1)右側を下にして寝る
(2)左側を下にして寝る
答えは次ページ
答えと解説
正解は、(1)右側を下にして寝る、です。
誤嚥性肺炎を引き起こす「誤嚥」を防ぐためには、食後の過ごし方もポイントになります。
というのも、食べてすぐ横になると、胃酸が食道に逆流して気道にも入りやすくなるからです。胃酸の逆流は医学的には「胃食道逆流症」といって、いわゆる胸やけを起こします。
誤嚥性肺炎を含む呼吸器疾患に詳しい池袋大谷クリニック院長の大谷義夫さんは、「逆流を防ぐため、食後90分は横にならないようにしてください」とアドバイスします。頻繁に逆流を起こすと食道に炎症ができる(逆流性食道炎)こともあるので注意しましょう。
「胃食道逆流症(GERD)診療ガイドライン2015(改訂第2版)」には、タバコ、アルコール、高脂肪食などとともに「右側を下(右向き)にして寝る」(右側臥位)ことが逆流のリスクを高めると書かれています。理由は胃のカーブ。右側を下にして寝ると胃が食道より上になり、重力のせいで逆流を起こしやすくなってしまうのです。
「胃酸の逆流を防ぐためには、食後90分は横にならないでいただきたいのですが、特に右向きで寝る習慣は危険なのです」(大谷さん)
実際、大谷さんが診た、繰り返し誤嚥性肺炎を起こした70代の患者の方は、毎回テレビを見ながら食事をして、さらに食後すぐに横になる習慣があったそうです。テレビを見ながらの食事は、食べること、飲み込むことに集中できず、誤嚥してむせやすくなります。
「この患者さんには、(1)食事中はテレビを見ない、(2)食後90分は横にならない、もし横になるときは左向きで、(3)1日数回の空嚥下を実行してもらったところ、予防効果が劇的に見られました」(大谷さん)
(日経Gooday編集部)
[日経Gooday2020年3月16日付記事を再構成]
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