発酵性大豆食品、特に納豆の摂取が、死亡リスクの低下と関係することが、日本の中高年約9万人を対象として行われた大規模疫学研究で明らかになりました。
納豆などの摂取量は、総死亡リスクとも関係?
これまでに行われた研究でも、発酵性大豆食品の摂取量が多い人は高血圧のリスクが低いことや、納豆の摂取量が心筋梗塞、脳卒中などの心血管疾患による死亡リスクの低下と関係することなどが示されていました(関連記事「納豆、週1パック 循環器疾患の死亡リスク下がる?」)。しかし、心血管疾患以外による死亡と発酵性大豆食品の摂取の関係は検討されていませんでした。
そこで、国立がん研究センターの片桐諒子氏らは、日本人の生活習慣・生活環境と病気との関わりを明らかにするための大規模疫学研究「JPHCスタディ」に参加した、45歳から74歳までの9万2915人(男性4万2750人と女性5万165人)の食生活と死亡の関係を調べることにしました。
研究チームは、参加者全員が受けた食物摂取頻度調査のデータの中から、大豆食品(豆腐、ゆし豆腐、高野豆腐、油揚げ、納豆、豆乳、味噌)全体の摂取量と、発酵性大豆食品(納豆と味噌)、非発酵性大豆食品(豆腐、ゆし豆腐、高野豆腐、油揚げ、豆乳)の摂取量を推定し、さらに、それぞれ別個に納豆、味噌、豆腐(豆腐、ゆし豆腐、高野豆腐)の摂取量も明らかにしました。
これらの食品群または個々の食品の摂取量が最も少ない人から最も多い人まで順番に並べて五等分し、少ない方から最低五分位群、第2五分位群、第3五分位群、第4五分位群、最高五分位群としました。ただし納豆については、1万2000人超が「全く食べない」と回答していたため、食べない人を最低五分位群とし、残りの人々を摂取量に基づいて第2五分位群、第3五分位群、第4五分位群、最高五分位群の4群に分けました。
大豆食品の摂取量と、あらゆる原因による死亡(総死亡)、および、死因別の死亡(がん、あらゆる心血管疾患、心疾患、脳血管疾患、呼吸器疾患、外傷による死亡)の関係を検討しました。