「小田和正さんの『たしかなこと』は、家族が亡くなった時にずっと聴いていて。お姉ちゃんとカラオケで歌って、号泣していたこともありました」

小田和正を聴いて役作りした『ステップ』

4月3日公開の出演映画は、重松清の小説を飯塚健監督(『虹色デイズ』)が映画化した『ステップ』。伊藤さんは、妻を亡くしてシングルファザーになった主人公の健一(山田孝之)が、娘を初めて預ける保育園の「ケロ先生」を演じる。

「飯塚さんの現場はもう6~7作目。『ステップ』を映画化したいという話は前から聞いていて、脚本も読ませていただいてたんです。それで『やりたい!』と思っていたのが、ケロ先生の役。言動からすごくいとおしい人だなと思いましたし、冒頭に登場して最初にこの作品のエンジンをかける役なので、『誰かに取られたらショックだな』と思っていて。『やりたい!』と無意識にアピっていたかもしれません(笑)」

カエルのようにジャンプして子どもの緊張を和らげたり、慌てて転んだりして、健一や観客の心を開くケロ先生。一方で子どもに寄り添い、見る者を感動させる場面も。

「飯塚監督には、チーフ(ディレクター)を務められていたドラマ『GTO』(14年)の時に、20歳の誕生日を祝っていただいたんです。そして今回は25歳の誕生日を『ステップ』の現場で祝っていただく形になって。感慨深かったです」

「ケロジャンプと転び方はめちゃくちゃ考えました。飯塚さんに言われたんですよ。『考えてるとは思うんだけど、ここにすべてが詰まってるから』って(笑)。それで『ヤバイヤバイ!』となって、跳ぶかと思って跳ばないバージョンを考えたりしました。ケロ先生のかわいらしさを見せられたらいいなと思いましたね。

「山田孝之さんと真っ正面からお芝居ができた気がして。一歩、前進できた気がする」という

『ステップ』の撮影時に聴いていたのは、小田和正さんの『たしかなこと』。『時を越えて~』っていう、保険会社のCMにも使われている曲です。なぜその曲だったかというと……、私は以前、家族の1人を失ったことがありまして。その人との思い出の曲なんです。『ステップ』は家族の絆の物語で、ケロ先生には子どもの気持ちをくんで話すシーンがあるので、私自身の子ども時代を思い出したら、その言葉が自然に出てくるんじゃないかと思いました。

完成した映画を見て思ったのは、山田孝之さんが『全裸監督』とは別人だということ(笑)。私は18歳の時に『悪の教典』(12年)という映画で初めてお会いして、その後、ドラマ『REPLAY & DESTROY』(15年)や『全裸監督』(19年)でご一緒させていただきました。そのたびに『私はまだ孝之さんと共演したとは言えないです。がんばります!』と話していたんですが、今回初めて、真っ正面からお芝居ができた気がして。また一歩、前進できたんじゃないかなと思っています」

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