「たまる」女と「たまらない」女 マネー上手への道
ファイナンシャルプランナー 馬養雅子
就職、出産、子どもの進学――。女性には様々なライフステージがあります。その都度、やっぱりお金が必要になってきますよね。人生の節目で慌てないために、日ごろからの備えが大切。「個人のお金のアドバイザー」として活躍するファイナンシャルプランナー、馬養(まがい)雅子さんが、賢いお金のため方を紹介します。
2019年に「老後2000万円」問題が浮上し、世の中を騒がせました。金額はともかく、「老後のためにお金をためておく必要がある」ということを改めて認識した人も多いのではないでしょうか。貯蓄の目的は老後資金だけではありません。急にまとまったお金が必要になったときも困らずにすむし、将来のイベントや夢を実現することにもつながります。
給料が同じくらいでも、しっかりお金をためている人もいれば、「なかなかお金がたまらない」と嘆いている人もいますよね。その違いはどこにあるのでしょうか。実は毎日のちょっとした習慣やお金の使い方が、「たまる女」と「たまらない女」の差になってくるのです。
では、あなたはどちらでしょうか。次のうち、あてはまる項目の数でチェックしてみましょう。
おめでとうございます! あなたはお金がきちんと管理できている「たまる女」。これからも気を緩めず、ますます磨きをかけましょう。
あなたは生活習慣に改善の余地がある「ほどほどたまる女」。もう少し頑張って「たまる女」を目指しましょう。
残念ながらあなたは「たまらない女」。このままでは老後破産してしまうかも。何が問題なのか、以下を参考にして「たまる女」への第一歩を踏み出してください。
それぞれの項目をひとつずつ見ていきましょう。
1回300円でも1カ月だと9000円
【毎日コンビニへ行く】
コンビニは今や生活に欠かせませんが「毎日行く」という人は、立ち寄ることがなんとなく習慣になっているのではありませんか? いったんコンビニに入ると、何も買わずに外に出てくるのは難しいもの。必要がなくても何かしら買ってしまいます。たとえそれが1回300円だとしても、1カ月で9000円も無駄遣いすることになります。
立ち寄るのが習慣になっている人は、行く回数をだんだん減らしましょう。店の前を通らないようにするのもいいですね。
【今、貯金がどのくらいあるのか分からない】
お金に対して関心が薄いことを表しています。貯蓄は毎月一定額を積み立てていくのが基本。そうすれば、通帳を見なくても今いくらあるか、分かるようになります。
ポイントをためるのは問題ないけれど…
【レシートやカードなどで財布がパンパン】
これはお金の管理がきちんとできていない証拠。「たまる女」は、レシートで支出を把握したらすぐに捨てるか、あるいはキャッシュレスの利用でレシートなしで支出を管理しています。クレジットカードは必要な枚数に絞ってポイントが分散しないようにし、クーポン券や割引券などは使う可能性のあるものだけとっておいて、すぐに利用します。
財布に一定額を入れて、その範囲で支出するように心がけている人もいますよ。お金を管理する仕組みができていれば、財布がパンパンになることなく、お金もたまります。
【ポイントをためるのが大好き】
ポイントをためることそのものはOKなのですが、そのために余計なお金を払っていませんか? 今はいろいろなポイントが乱立しキャンペーンなども多いので、振り回されてしまうケースも見かけます。でも、ポイントはあくまでも「おまけ」。利用する種類を絞って賢くつき合うようにしましょう。
【ネット通販のタイムセールは見逃さない】
これも問題はないのですが、こういう人は「○割引」「○円以上で送料無料」「○個買うと××がついてくる」など、「お得」に弱い傾向があります。「お得」をゲットするつもりで必要のないものまで買ってしまい、無駄な支出をしていることがあるのではないでしょうか。買い物はお得かどうかより、自分にとって本当に必要かどうかを優先しないと。つられて余計なものまで買ってしまわないよう、気をつけて。
【ふらりと立ち寄ったお店で衝動買いすることがある】
衝動買いそのものが問題です。買い物は「本当に必要なものだけを買う」ことが大切。衝動買いすると、必要でないものを買ってしまいがちになります。「同じような洋服をまた買ってしまった」「買ってはみたけど、手持ちの服とコーディネートできない」といった失敗も多くなります。
衝動買いしやすい人は、用がない限りお店へは立ち寄らないのが無難。ネットでつい買い物をしてしまう人は、ショッピングサイトを見ないようにすることで、衝動買いが防げます。
【ATMでお金をおろすとき、手数料がかかることがある】
問題点は2つあります。1つは手数料に無頓着であること。引き出しは通常、午前8時45分から午後6時までは無料ですが、それ以外の時間帯だと110円あるいは220円の手数料がかかります。今、大手銀行の定期預金金利は0.01%というところが多く、100万円預けても1年間に受け取れる利息は税引き後でたったの80円です。1回の引き出しで110円も手数料をとられたら、利息が吹き飛んでしまいます。お金をためるには、余計な手数料は一切払わないという心掛けが大切です。
もう1つの問題はお金の管理の仕方です。手数料を払って引き出しているということは、お金が足りなくなると引き出し、また足りなくなったら引き出す、というふうに無計画にお金を使っているからではありませんか? それではお金はたまりません。管理の仕方を考える必要があります。
保険の入りすぎには注意
【クレジットカードのリボ払いを利用している】
これは大問題です。クレジットカードは通常の1回払いやボーナス払いなら手数料はかかりません。でも、リボ払いは翌月に支払いを持ち越した額がカード会社への「借金」となり、手数料という利息がかかってしまいます。借金は貯蓄の大敵。リボ払いは使ってはいけません。
【安心のために、たくさん保険に入っている】
保険にたくさん入っていると万一のときには手厚い補償が得られますが、手厚くすればするほど保険料は高くなります。保険料は何十年にもわたって払っていくので、トータルすると数百万円、場合によっては1000万円を超えることも。保険は人生の中ではとても大きな支出になります。必要以上に入って高い保険料を払うのは、お金がたまらない原因の1つ。保険は「保障」をお金で買うものですから、最小限をできるだけ安い保険料で確保するのが賢いやり方です。
【投資信託などお金が減る可能性のあるものは利用しない】
まだまだそういう人は多いかもしれません。お金をコツコツためることはとても重要ですが、現在のような低金利だと、元本が保証された預金だけではなかなか増えません。老後資金のように必要となる時期までに何年もあるなら、預金以外の金融商品を使って増やすことがどうしても必要になります。「預金以外はイヤ」と敬遠せず、投資信託などを上手に活用して「たまる&増える女」になりましょう。
こうして見てみると、ちょっとした心がけで改善できる点がたくさんありますよね。ここに挙げた項目については、次回以降により詳しく解説していきます。それを参考にして生活習慣を見直したり、ちょっとした工夫をしたりすれば、あなたもピカピカの「たまる女」になれますよ。
オフィス・カノン代表。ファイナンシャルプランナー(CFP)、1級ファイナンシャルプランニング技能士。千葉大卒。法律雑誌編集部勤務、フリー編集者を経て、ファイナンシャルプランナーとして記事執筆、講演などを手掛けてきた。著書に「だれでもカンタンにできる資産運用のはじめ方」(ナツメ社)など。http://www.m-magai.net
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