第二に、当たり前のことですが内定辞退を先延ばしにしないこと。内定は社会人としてのスタート。これから長年、働いていく上で、「個人の信頼や信用」が大切になります。なかには、5~6社内定をもらい、そのままの就活生もいますが、まず、人事担当者の気持ちを察すべきです。内定辞退を丁寧に伝えることも、社会人になるための礼儀なのです。
内定辞退の理由を言葉にする
ではどう伝えるか? 大切なことは内定辞退の理由を明確に言葉にすることです。社会人として「こうありたい」ということを整理して、「なぜその企業を選ぶのか」を的確に伝えるのです。
内定辞退は謝罪ではありません。全面的に「私が悪いことをしました」という態度で臨む必要はありません。
社会人として大切なことは、何事も「うやむや」にしないということです。OB・OG訪問で就活相談にのってくださった先輩に、「他の企業にいくことになった理由」を伝えていますか? 他の企業に入社することなったことで「先輩に悪いな」と感じて、何の連絡もしない就活生を多くみかけます。
内定辞退後も応援してもらえる人材になるという視点をぜひ持ってもらいたいです。社会人として働いていくというのは、人と人とのつながりの中で、「こうありたい」姿に必要な経験を一つ一つ積み重ねアウトプットしていくことです。コミュニケーションをしてつながりを太くすることは、社会人として大きな資産になります。
「内定辞退」の意思決定をせずに、ただ長引かせていることは、就活生の皆さんにとっても、何一つとしてポジティブなことはないのです。
田中研之輔
1976年生まれ。一橋大学大学院社会学研究科博士課程を経て、メルボルン大学、カリフォルニア大学バークレー校で客員研究員をつとめる。2008年に帰国し、法政大学キャリアデザイン学部教授。大学と企業をつなぐ連携プロジェクトを数多く手がける。企業の取締役、社外顧問を14社歴任。著書に『プロティアン―70歳まで第一線で働き続ける最強のキャリア資本術』(日経BP社)など。
1976年生まれ。一橋大学大学院社会学研究科博士課程を経て、メルボルン大学、カリフォルニア大学バークレー校で客員研究員をつとめる。2008年に帰国し、法政大学キャリアデザイン学部教授。大学と企業をつなぐ連携プロジェクトを数多く手がける。企業の取締役、社外顧問を14社歴任。著書に『プロティアン―70歳まで第一線で働き続ける最強のキャリア資本術』(日経BP社)など。