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マヨネーズ・納豆・アイス… 消費1位の意外な町は?

■6位 納豆  904人
(1)仙台市 (2)福島市 (3)水戸市 (4)千葉市

日常食、カレーやオムレツにも

8割以上の人が「水戸納豆」で知られる水戸市をあげたが、水戸市がトップをとったのは2016年が最後。直近の3年では、17年が福島市、18年が盛岡市、19年が福島市で、平均では福島市が三つどもえを制した。

納豆の起源には諸説あるが、平安時代に東国で源氏の勢力を固めた源義家が、遠征の折に広めたともいわれる。「東北は冬になると雪で物流が遮断されるため、家庭で手軽に作れる保存食として納豆が親しまれてきた」(全国納豆協同組合連合会)

東北のなかでも福島市の消費額が高いのは「日常的に食べる習慣が根付いている」(同市・広聴広報課)ため。小中学校の給食メニューに納豆がよく登場するほか、家庭でもカレーやオムレツなどの具材として納豆を使うことが多いという。

<正解は(2)>

■7位 ようかん  895人
(1)金沢市 (2)京都市 (3)松江市 (4)佐賀市

出島輸入の砂糖、入手しやすく

和菓子といえば金沢、京都、松江が有名だが、ようかんでは佐賀が断トツだ。同市の17~19年の消費額は平均1344円で全国の約2倍。小城羊羹(ようかん)=写真=で知られる小城市を中心に、周辺にはようかんを作る店が多い。

起源は江戸時代にさかのぼる。長崎の出島で輸入された砂糖を大阪、江戸まで運ぶ「シュガーロード」が通り、砂糖が手に入りやすかった。原料の小豆が周辺でさかんに栽培されていたほか、鍋島藩のもとで茶道の文化が発達。贈答用だけでなく普段の菓子としても定着した。

小城羊羹は、外側に砂糖のシャリシャリ感があり内側はしっとりしているのが特徴。伝統製法を守っている店が多いという。

<正解は(4)>

■8位 ハンバーグ  861人
(1)東京都区部 (2)横浜市 (3)鹿児島市 (4)那覇市

歴史的に魚よりも肉好み

クイズの対象は調理済みの持ち帰りハンバーグや焼くだけで食べられるタネ。17~19年の消費額トップは那覇市で、2位の甲府市を2割以上上回った。

理由の一つとして、魚より肉を好む傾向がある。伝統的に豚を多く食べてきたほか、米軍基地を通じて米国の食文化が流入した影響で、市内にはステーキ店が目立つ。一方、生鮮魚介の消費額は全国で最下位だ。ハンバーグを好む子供が多いことも考えられる。沖縄県の18年の合計特殊出生率は1.89で、34年連続の全国1位だ。

地場スーパーのサンエーではここ数年、冷蔵のオリジナルハンバーグの売り上げが伸びている。「手軽に調理できる点が、子育て世帯から受けているようだ」。同社は県内のスーパーで3割近いシェアがあり、消費額を押し上げている可能性もある。

<正解は(4)>

■9位 アイス  785人
(1)さいたま市 (2)岐阜市 (3)金沢市 (4)鹿児島市

茶の湯の文化? 和菓子風目立つ

暑い地域ほどアイスクリームをよく食べるとは限らない。消費額の1位は金沢市。それ以降も3位が福島市、4位が盛岡市、5位が山形市、6位が富山市というように、上位には寒冷地が並ぶ。

金沢が特異なのは、加賀藩が栄えた江戸時代に茶の湯文化が浸透したことだ。「甘いものが好まれるようになり、おいしいものにお金をかける傾向も強い」(金沢市観光協会)。市内の店舗では、和菓子を思わせる意匠を凝らしたアイスが目立つ(写真は「箔一」の金箔ソフトクリーム)。

<正解は(3)>

■10位 コロッケ  777人
(1)福井市 (2)奈良市 (3)高松市 (4)北九州市

全国最高の有職率、手軽さ人気

イラスト 三井俊之

福井市はコロッケのほか、カツレツや天ぷら・フライの消費額も1位だ。背景として、男女とも働いている人が多いことが考えられる。福井県の15~64歳の有職率は全国最高の80%超。料理の時間がとりにくく出来合いの揚げ物に手が伸びる構図が浮かぶ。県ブランド課は「仕事帰りに子供の喜ぶ揚げ物を買うのでは」と推測する。

浄土真宗の信仰から、精進料理の文化が根付く。代表例が野菜の煮物で、各家庭で作り置きしておくことが多い。「揚げ物で栄養バランスをとっていると考えられる」(県ブランド課)

<正解は(1)>

食文化、地域おこしの切り札に

水戸市では納豆の消費を拡大するために、ゆるキャラ「ねば~る君」が街頭で納豆を配布するイベントを開いている

食にまつわる話題は、地域おこしを進める自治体からも注目を集める。「××で全国トップ」として認知されれば、観光客を呼び込んだり、地場産品を売り込んだりできるためだ。

「納豆のまち」を標榜する水戸市では、1世帯当たりの消費額でトップを奪還しようと、無料配布のイベントを市内で毎年4~5回開いている。納豆をかたどったゆるキャラ「ねば~る君」も街頭に立つ。

茨城県内の納豆メーカーでつくる茨城県納豆商工業協同組合(水戸市)の高野正巳理事長は「地元の人に愛されてこそ、『水戸は納豆のまちだ』と自信を持って言える」と話す。

今でこそ「ギョーザのまち」として有名になった宇都宮市だが、1990年にある市職員が家計調査でトップであることに着目し、観光資源としてアピールし始めたのがきっかけだ。浜松市とのつばぜり合いは、毎年の恒例行事にもなっている。

ひとたび話題になれば、経済効果は大きい。2011年に「うどん県」を宣言した香川県。その年の県外からの観光客数は870万人だったが、13年以降は900万人を超えており「PRが奏功した可能性がある」(県観光協会)。昨年は山梨県が「ワイン県」を宣言。「ワイン以外の食材も知ってもらいたい」と意気込む。

各自治体の思惑や意地が絡み、食のトップ争いは今後も続く。そこから新たな観光地や名物料理が生まれるかもしれない。

■ランキングの見方 クイズの正解は各記事の最後に記載。順位の下の数値は間違って答えた人数。1位と3位の写真は三浦秀行、2位はヤマキ、7位は村岡総本舗、9位は箔一、納豆のイベントは水戸市がそれぞれ提供。

■調査の方法 2017~19年の家計調査をもとに、16のクイズを独自に作成。1世帯(2人以上)当たりの平均消費額を47都道府県の県庁所在地と政令指定都市で比較。調査は3月上旬、インターネット調査会社のマイボイスコム(東京・千代田)を通じて実施、20~60代の男女1000人から回答を得た。偏りが生じないよう各都道府県の回答者数をほぼ同数にそろえた。(荒牧寛人が担当しました)

[NIKKEIプラス1 2020年3月21日付]

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