筆者がジョージアのオリジナルメニューを検索して、実際に作ってみたシュクメルリ

これを昨年12月初旬より全国70店で試験販売を開始した。そこで予想していなかったことが起こり始めた。一つは、食べたお客がSNSで写真といっしょに紹介し、「おいしい」「食べたいけど、置いている店がわからない」などと話題になったこと。そしてもう一つが、ティムラズ・レジャバ駐日ジョージア臨時代理大使が、「松屋」でこれを賞味したことを何度か写真入りでつぶやくというサプライズだった。これでさらにSNSで話題となった。

Web検索で料理を発見し、SNSで話題になるという、実に現代的な展開だが、「インスタ映え」のように写真が拡散されただけで尻すぼみにはならず、終売に際してはメニューからなくなるのを惜しむ声、再登場を願う声がまたSNSで寄せられた。これが同社初のレシピ公開に踏み切る理由の一つであったという。

さて、レシピ公開もされているので自分でも作ってみようと考えたが、せっかくなので「松屋」のアレンジが加わる前のオリジナルに近いシュクメルリを作ってみたくなった。そこで、当方としてもWebで翻訳サービスなども使いながらジョージアのサイトを当たってみた。

前述した通り、やはりジョージアでは主な材料は、鶏肉、牛乳、ニンニクだけで、野菜などは入れない。チーズを使うレシピも見当たらなかった。しかし、これだけ単純な材料でありながら、それぞれの分量、カット、手順などに微妙な違いがある。それで、いくつかのレシピを総合して、平均的な作り方として次のように作ってみた。

若鶏のぶつ切りに塩を振りかける。フライパンに多めの油を熱して、皮目から焼く。皮がカリカリになるようにしっかり焼き付ける。オーブンで使える鉄鍋にバターを溶かし、焼いたチキンを並べてオーブンで焼く。牛乳にニンニクのみじん切りを入れ(牛乳1カップに2片ほど)、フライパンに残った焼き油(鶏の肉汁が出ている)も合わせて、よく混ぜる。中心まで火が通った頃合いで、オーブンから鉄鍋をいったん出してこの調味液を流し込み、再びオーブンに戻す。

10~15分ほどで、わいた牛乳が泡立つようになる。こぼれませんようにと祈りながらさらに待つ。牛乳が半分ほどに煮詰まった頃に取り出す。この汁、シンプルだが、チーズを使ったかのように濃い味がする。いくつかの動画では、ジョージアの人々がこの汁にパンを浸してうっとりする様子が映っていた。鶏自体も食べるが、どうもこの汁をパンで味わうことが、この料理の楽しみであるらしい。

ところで、ジョージアでは鶏はどんなものを使っているのだろうと調べてみると、ジョージア伝統の品種があるようだ。それがもともとは国内だけで利用されてきたが、1800年代に鉄道ができて西欧各国への輸出に転じたという。だが、ソ連崩壊後、現在のジョージア農業は復興途上で、自給的農業が多いらしい。そんな中、ジョージアの鶏は国外からの輸入品に押され気味だという。

しかし、それでも伝統品種の人気は根強いらしい。その理由として、味が濃いという説明をしているサイトもあった。農業関連サイトで養鶏の写真を見ると、平飼いが多いようだ。日本でも、そうやって育てた鶏はブロイラーよりも肉は硬めだが味が濃い。いわゆる地鶏というやつだ。

ジョージア産の鶏はなかなか手に入らないだろうが、今度は地鶏肉を張り込んでシュクメルリに再挑戦してみたい。

(香雪社 斎藤訓之)