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長寿の国のジョージア料理 牛丼の松屋もほれた理由

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NIKKEI STYLE

この冬、丼と定食の「松屋」が期間限定で「シュクメルリ」なる耳慣れない料理を出して話題になった。ジョージアの料理だという。

米国ジョージア州ではない。ジョージアという国を、日本では長らくグルジアと呼んでいたが、同国からの要請を受けて2015年から日本での呼称をジョージアに変えた。場所は南コーカサス地方、言い換えると黒海とカスピ海の間、トルコの北東に位置する。遠い国ゆえどうもイメージがわかないかもしれないが、大相撲力士の黒海、臥牙丸、そして元大関・栃ノ心がジョージア出身である。

食関連でジョージアの話題というと、「ワイン発祥の地」とも言われる国だということだ。クヴェヴリという卵形の壷(つぼ)を使う古い醸造法のワインの産地として知られる(「土に埋めて醸造 世界最古、ジョージア『土器ワイン』」参照)。

しかし、シュクメルリというジョージア料理は、これまで日本でほとんど紹介されたことがない。それを牛丼チェーンの「松屋」が突然売り出して話題になった。昨年12月に一部の店舗で試験販売していたところ、TwitterなどのSNS(交流サイト)で評判となり、それに押されるような形で1月14日から全店販売となった。2月いっぱいで店舗ごとに順次終売となったが、さらにそれとほぼ同時にクックパッドでレシピ公開をしたことでまた話題をさらった。

「松屋」は今月また新しい期間限定商品としてイタリア料理の「カチャトーラ」を売り出したところなので、やや旧聞に属するが、おそらく今年はジョージア料理が初めて大々的に日本に紹介された年として記念されるように思われるので、おさらいしておきたい。

まず、「松屋」が売り出したシュクメルリから。売り出したメニューは2種類。謎の料理シュクメルリにご飯とみそ汁が付く「シュクメルリライスセット」(730円)と、さらにサラダが付く「シュクメルリ鍋定食」(790円)で、ワンコインで食べられるメニューが多い「松屋」にしては高額商品である。

筆者は「鍋定食」を注文してみた。出てきたのは「鍋定食」というだけに、旅館の料理でおなじみの固形燃料で温める小鍋を中心とした膳になっている。

鍋の蓋を開けると、ぱっと見はチキンがごろごろ転がるクリームシチューのようなものが固形燃料で温められてクツクツ、クツクツと音を立てている。寒い日には見た目だけでもう幸せな感じだ。だがもちろんそれは、我々が子どものときから冬に食べているクリームシチューとは違う。「松屋」公式では「『ニンニク』と『とろけるチーズ』の"ホワイトソース"で鶏もも肉を煮込んだ」という説明になっているが、見た目より先に印象的なのは、そのニンニクの匂いだ。それがまだ自分のテーブルに料理がのる前、調理段階から漂ってくる。

このニンニク風味が実に食欲をそそる。この香りを嗅ぎながら主役のチキンにかぶりつくと、そのやや強い味をミルクとチーズが包み込む。その味が消えないうちに飯をかき込むと、これが、まあ、よく合う。そしてなぜかそこにサツマイモの塊がいくつか入っているのだけれど、これもミルク系の味に合う。最後に残った汁をまた飯に乗せて混ぜて食べるのが、これまたよい味だ。

味はよいとして、しかし「松屋」はなぜこの料理を出そうと考えたのか。ジョージアという国を、相撲ファンやワイン通は知っていても、たとえば日本人が観光や仕事で訪れる先としては今のところ決してポピュラーな国ではない。ジョージアへの日本人訪問者数は5969人(日本旅行業協会、17年)、ジョージア在留邦人は45人(外務省、同)というレベル。話題性を狙ったとは思えない。

「松屋」に聞いてみると、実際、これは話題性を狙ったものではなく、むしろ話題になったこと自体が想定外だったようだ。というのも、メニュー開発のきっかけとして「ジョージアの料理を」という考え自体がなかったのだ。

「『松屋』では、よく使っている得意な食材が5つあります。それは、牛肉、豚肉、鶏肉、チーズ、ニンニクです。そして、ホワイトソースはじめ各種のオリジナルのソースを持っています。これらを生かせる料理を探すなかで、シュクメルリが浮上したのです」(松屋フーズホールディングス総務部総務・広報グループチーフスタッフの青木葉子さん)

単純化して言えばこうなる――「鶏肉、ホワイトソース、ニンニク」でWebを検索したなかで、シュクメルリという料理がヒットした……。それがたまたまジョージアの料理であったということだ。

同社でさらによく調べると、実際「松屋」の仕組みの中で出来そうな料理で、しかもアレンジして独自性も出せそうということが決め手になったという。後述するが、ジョージアで通常作られているシュクメルリの主な材料は、鶏肉、牛乳、ニンニクなのだが、松屋は自社オリジナルのホワイトソースにチーズとニンニクを加え、さらにサツマイモを加えたという。

「色合いとボリュームを出すのに何か野菜ということで試作段階ではジャガイモやニンジンなども試しましたが、サツマイモが合うということで落ち着きました」(同)

これを昨年12月初旬より全国70店で試験販売を開始した。そこで予想していなかったことが起こり始めた。一つは、食べたお客がSNSで写真といっしょに紹介し、「おいしい」「食べたいけど、置いている店がわからない」などと話題になったこと。そしてもう一つが、ティムラズ・レジャバ駐日ジョージア臨時代理大使が、「松屋」でこれを賞味したことを何度か写真入りでつぶやくというサプライズだった。これでさらにSNSで話題となった。

Web検索で料理を発見し、SNSで話題になるという、実に現代的な展開だが、「インスタ映え」のように写真が拡散されただけで尻すぼみにはならず、終売に際してはメニューからなくなるのを惜しむ声、再登場を願う声がまたSNSで寄せられた。これが同社初のレシピ公開に踏み切る理由の一つであったという。

さて、レシピ公開もされているので自分でも作ってみようと考えたが、せっかくなので「松屋」のアレンジが加わる前のオリジナルに近いシュクメルリを作ってみたくなった。そこで、当方としてもWebで翻訳サービスなども使いながらジョージアのサイトを当たってみた。

前述した通り、やはりジョージアでは主な材料は、鶏肉、牛乳、ニンニクだけで、野菜などは入れない。チーズを使うレシピも見当たらなかった。しかし、これだけ単純な材料でありながら、それぞれの分量、カット、手順などに微妙な違いがある。それで、いくつかのレシピを総合して、平均的な作り方として次のように作ってみた。

若鶏のぶつ切りに塩を振りかける。フライパンに多めの油を熱して、皮目から焼く。皮がカリカリになるようにしっかり焼き付ける。オーブンで使える鉄鍋にバターを溶かし、焼いたチキンを並べてオーブンで焼く。牛乳にニンニクのみじん切りを入れ(牛乳1カップに2片ほど)、フライパンに残った焼き油(鶏の肉汁が出ている)も合わせて、よく混ぜる。中心まで火が通った頃合いで、オーブンから鉄鍋をいったん出してこの調味液を流し込み、再びオーブンに戻す。

10~15分ほどで、わいた牛乳が泡立つようになる。こぼれませんようにと祈りながらさらに待つ。牛乳が半分ほどに煮詰まった頃に取り出す。この汁、シンプルだが、チーズを使ったかのように濃い味がする。いくつかの動画では、ジョージアの人々がこの汁にパンを浸してうっとりする様子が映っていた。鶏自体も食べるが、どうもこの汁をパンで味わうことが、この料理の楽しみであるらしい。

ところで、ジョージアでは鶏はどんなものを使っているのだろうと調べてみると、ジョージア伝統の品種があるようだ。それがもともとは国内だけで利用されてきたが、1800年代に鉄道ができて西欧各国への輸出に転じたという。だが、ソ連崩壊後、現在のジョージア農業は復興途上で、自給的農業が多いらしい。そんな中、ジョージアの鶏は国外からの輸入品に押され気味だという。

しかし、それでも伝統品種の人気は根強いらしい。その理由として、味が濃いという説明をしているサイトもあった。農業関連サイトで養鶏の写真を見ると、平飼いが多いようだ。日本でも、そうやって育てた鶏はブロイラーよりも肉は硬めだが味が濃い。いわゆる地鶏というやつだ。

ジョージア産の鶏はなかなか手に入らないだろうが、今度は地鶏肉を張り込んでシュクメルリに再挑戦してみたい。

(香雪社 斎藤訓之)

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