賃貸住宅の家賃相場じわじわ上昇中 新型コロナも影響?値段の方程式

就職や転勤、進学で転居する人も多い3月。賃貸住宅にとって大きな需要期です。購入する分譲住宅、特にマンションはバブル期を抜いて最高値圏にあります。賃貸も全国的に平均募集家賃が上がっています。不動産情報メディアのアットホームによると特に東京 23 区のマンションは5年で10%以上値上がりしました。

建設コスト増が家賃に反映

理由は3つあります。まずは人手不足による新築物件のコスト増。東京五輪開催に伴って施設建設や市街地の再開発が活性化しました。建設作業員の人手が不足したため、建設コストが上昇し、その分が家賃に反映されています。

2つめは借りる側のこだわりが強くなっているということ。分譲マンション価格が最高値圏にある影響が出ています。「家を購入したい」という、持ち家志向は30代中心に高まっている。ところが、価格が高いので買い控えが起きています。「東京五輪後に、値段が下がるのでは」という見方もあり、本来は住宅を購入する経済的な余力がある世代が賃貸にとどまっているようです。こうした層が賃貸住宅を選ぶ際には、ある程度、こだわってグレードの高い賃貸物件を選ぶ傾向にある。家賃が高めの物件が人気になって賃料相場を押し上げます。

さらに「次のステップでマイホーム購入」は賃貸から別の賃貸には住み替えません。同じ物件に長く住むことになる。これは、大家さんの側から見ると、安定的に借り手がいるという状況。空室も少なくなっています。

目の肥えたお客に接客も大変

不動産会社の接客も負担が増えています。ネットで物件を検索することが影響しているようです。不動産情報メディアのアットホームの担当者は「ネットであらかじめ調べてくるので、そこに掲載されている情報以上のものを求めてくる」といいます。

不動産のネットへの情報公開の仕方が成約につながる最重要項目になっています。ネット画面で引っかからなければ、物件を見てくれないからです。「こだわりの条件」という、物件のアピールポイントはより細かく、様々な項目に対応できるように、増え続けています。

以前は「バス・トイレ別」くらいだったと思いますが、今は、「タンクレストイレ」とか「浴室乾燥機」とかを選べます。「インターネット無料」というのも人気の項目です。チェック項目が増えれば検索しやすくなりますが、不動産会社は物件のウリを改めて洗いなおす必要も出てきます。

在宅勤務進展で相場も変化?

働き方改革の進展でテレワークが注目されています。さらに今冬からのコロナウイルスの感染拡大も予期しない形で在宅勤務やリモートワークを後押ししています。これが賃貸住宅の相場にも影響しそうです。

アットホームの担当者は「今までのように通勤のアクセスを重視するのではなく、家族の時間や趣味の充実に重点をおいた住まい探しが進んでいる。郊外部での家賃の変化も今後起きることを期待している」といいます。これが進めば、賃貸住宅における値段の方程式も変化がありそうです。設備や周辺環境の比重が上がって、駅からの距離の比重が下がることが予想されます。

(BSテレ東日経モーニングプラスFTコメンテーター 村野孝直)

値段の方程式
BSテレ東の朝の情報番組「日経モーニングプラスFT」(月曜から金曜の午前7時5分から)内の特集「値段の方程式」のコーナーで取り上げたテーマに加筆しました。
注目記事
今こそ始める学び特集