「センスって何かというと、相手の気持ちが分かること」
――装いは相手への気遣いが大事ということですか。
「僕はスタッフに、『センスのいい人になってほしい』と言っています。センスって何かというと、相手の気持ちが分かること。僕はファッションが好きですが、コミュニケーションのツールであるとも考えています。ビームスの社長がスーツをビシっと着て隙が無くて、となると相手はなかなか打ち解けられませんよ」
――ファッション関係の方に会うとなると構える人もいると思います。
「だから、極力、隙をつくるんです。自分のことは会社でも社長ではなくボス、外の人にも極力『タラちゃん』と呼んでもらっています。服装ではまず最初に話題になるような、ひっかかりを1つ身につけています。バッグに付けた自分の人形のキーホルダーだとか、アイフォーンのケースだとか。ケースはタラちゃん仕様で、置いておくだけで『何ですか、これ!』と聞かれます。名刺入れは昭和初期のたばこ入れですよ」
――こちらは和装小物の合切袋(がっさいぶくろ)ですね。スーツに合わせるのが面白いです。
「ダークスーツ&ネクタイのときに持てば抜けた感じになり、堅い印象が和らぎます。あるとき結婚式で親しいお坊さんがタキシードに合切袋を合わせていた。かっこいいよなあ、やっぱりクラッチバッグよりこっちの方がいいよなあ、と思っていたら、あげますよ、とくださって、持ち方まで教えてくれました。気に入ったので同じ形でクロコのタイプも作ったんです」
――好きな色や組み合わせを教えてください。
「基本は紺×白。この間クローゼットの服を並べてみて、紺×白のチェックのジャケットがあまりにもたくさんあって、びっくりしました。スーツも紺がほとんど。ワイシャツは白無地か白紺のストライプです。トリコロールカラーが好きなので、ここに赤を差し色にすることも多いな。身につけているものは全身ビームスですね。義務感で着ているのではなく、好きなものが何でもそろいますから」
――これまで、ご自分のファッションの方向性が変わった時期はありましたか。
「常にめちゃくちゃ変わっていますよ。それが自分の特徴であり、コンプレックスなんです。副社長の遠藤(恵司氏)はアイビー一筋でモードの服を着てもアイビーになっちゃうタイプですが、僕はミーハーで流行に洗脳されちゃうタイプ」