実態はヤミ金? 「給料の前払い」うたう高利貸し横行弁護士 志賀剛一

多くの給料ファクタリング契約書には「給料債権の買い戻しは義務ではない」と記載されているのですが、給料日が「買い戻し期限」に設定され、それを過ぎると業者から取り立てがあります。貸金業法では貸金業者による取り立てについて、深夜や早朝の架電・訪問による取り立てや、債務者・保証人以外への返済要求などが禁止されています(取り立て行為規制)。

ところが、複数の給料ファクタリング業者は「貸金業でない」との前提に立って、深夜・早朝の架電や訪問などを行っています。契約時に「緊急連絡先」と称して親族や知人の連絡先を記入させ、期限を過ぎると支払い義務のない第三者にも一斉に電話連絡される例もあるようです。

金融庁が見解を公表

給料ファクタリング業者と利用者との間で裁判になっている例もあり、司法の判断が待たれますが、それに先立ち今年3月6日、金融庁が給料ファクタリングは経済的に貸し付け(金銭の交付と返還の約束が行われているもの)と同様の機能を有しているものと考えられることから、貸金業法第2条第1項の「手形の割引、売渡担保その他これらに類する方法」に該当するとの見解を公表しました。

「司法判断を拘束しうるものではない」との留保はつけられているものの、金融庁の判断ですから重い意味を持つことは間違いありません。給料ファクタリングに貸金業法の適用があることになれば、貸金業の登録のない業者は無登録営業で処罰対象となり、手数料は利息制限法や出資法による上限を超えることができなくなります。当然、取り立て行為規制も適用されます。

ネット上には「悪質な業者に注意! 安心できる業者を選びましょう」というような口コミサイトから特定の業者に誘導させる仕組みも見受けられますが、私が見る限り、手数料を金利に換算すると、利息制限法の上限金利を下回っている業者は皆無でした。給料債権に関するものではありませんが、売掛債権の売買を装い、実際には売掛債権を担保にして高金利の貸し付けを行った業者が逮捕された例もあります。

破綻は確実、手を出すべきではない

給料ファクタリング利用者の多くは相談のケースのように、キャッシング枠をめいっぱい使っている人たちですから、もともとカード会社への返済があり、そこへさらに給料ファクタリングの「買い戻し」が加わるのです。適法性はともかく、手数料を金利に換算してみればとうてい支払いきれる額ではなく、破綻は確実です。手を出すべきではありません。

志賀剛一
志賀・飯田・岡田法律事務所所長。1961年生まれ、名古屋市出身。89年、東京弁護士会に登録。2001年港区虎ノ門に現事務所を設立。民・商事事件を中心に企業から個人まで幅広い事件を取り扱う。難しい言葉を使わず、わかりやすく説明することを心掛けている。08~11年は司法研修所の民事弁護教官として後進の指導も担当。趣味は「馬券派ではないロマン派の競馬」とラーメン食べ歩き。
注目記事
今こそ始める学び特集