新型コロナ、重症化招く基礎疾患 心血管系にリスク

日経ナショナル ジオグラフィック社

2020/3/27

ぜんそく、アレルギー、喫煙など

嚢胞(のうほう)性線維症や慢性閉塞性肺疾患、ぜんそく、アレルギーなどによる慢性的な肺疾患、そして、喫煙で肺に損傷がある人も注意が必要だ。たとえ軽い風邪やインフルエンザであっても、こうした持病のある人々では、症状が悪化して入院するケースもある。

新型コロナウイルスの心配な特徴は、症状が出るまでの潜伏期間が2~14日と、かなり長いことだ。おまけに、米国ではCDCの技術的ミスにより検査に遅れが生じている。そのため、感染しているのに気づかないでウイルスをばらまいてしまう人がどれだけいるのかわからない。3月9日付の医学誌「Lancet」に発表された最新研究によると、新型コロナウイルスの感染者は8~37日間ウイルスを排出し続けるという。

がん患者

がん患者も、重症化のハイリスクグループに入る。白血病やリンパ腫の集中治療を受けている患者や骨髄移植患者は、腫瘍や治療で免疫機能が低下しているため、ウイルス性のものも含めて肺炎には十分な注意が必要だ。過去にがん治療を受けて完治したように見える人でも、免疫機能が完全に回復していない場合があると、米国がん協会のJ・レナード・リクテンフェルド氏は指摘する。

がん患者は、インフルエンザの予防接種すら受けられない場合があるので、感染しないようにするには周囲の人々に予防接種を受けてもらうしかない。今のところがん患者にできることと言えば、人との接触を避け、家族や医療従事者の衛生管理を徹底させることくらいだ。

子供は大丈夫?

今のところ、新型コロナウイルスに関するデータはどれも、子供への感染率が低く、重症化の例も少ないことを示している。2月11日までに中国CDCは4万4600人の感染確定者を記録しているが、9歳以下の子供の感染者数はわずか400人で、死者はひとりも出ていない。子供は感染する確率が低いということなのか、それとも重症化しないだけなのだろうか。

「後者が正解、つまり子供は重症化しないというのが、専門家の一致した意見です」と、米ピッツバーグ大学医療センター小児感染症部長のジョン・ウィリアムズ氏は言う。

初期の追跡調査では、子供の感染率が大人とそれほど変わらないとされている。これまでのところ子供の報告例が少ないのは、検査が大きな病院だけで行われているためだろうと、ウィリアムズ氏は言う。「軽症者や外来の患者、町の診療所の患者にも検査が実施されるようになれば、大人も子供も感染者は増えると思います」

過去のコロナウイルスや他の感染症でも、子供が重症化するケースはまれだった。約20年前に流行したSARS(重症急性呼吸器症候群)でも、子供が感染した例はあったが、ほとんどが軽症だった。水ぼうそうも、子供よりも予防接種を受けていない大人の方が重症化する可能性が高い。

しかし、だからといって世界中で学校が閉鎖されているのが無駄な努力だというのではない。あらゆる既知の呼吸器感染症を最も拡大させているのは、子供たちだ。米国では毎年、20%の子供がインフルエンザに感染するが、大人の感染率は5%にとどまっている。

「それだけではありません。移植や抗がん剤治療を受けている子供、心臓や肺の病気を持っている子供もたくさんいます。そうした子供たちが新型コロナウイルスへの感染で重症化するリスクが高いどうかはまだわかりませんが、他のウイルスの経験を踏まえれば、そうだと考えた方がいいでしょう」

(文 Nsikan Akpan、訳 ルーバー荒井ハンナ、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2020年3月12日付]

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