新型コロナ、重症化招く基礎疾患 心血管系にリスク

日経ナショナル ジオグラフィック社

2020/3/27

高血圧や糖尿病などの心血管系

新型コロナウイルスに感染してまずやられるのは肺だが、重症化の要因として最も多い基礎疾患が、心血管系の病気だ。

米国では成人の半分近くが高血圧といわれている。糖尿病患者も多く、10人に1人が代謝異常を抱えている。高血圧も糖尿病も、心血管系の様々な疾患を引き起こす要因となり、それによって米国ではおよそ37秒に1人が死亡している。

新型コロナウイルスへの感染が具体的に心血管系にどう影響するのかはまだわかっていない。しかし、米国心臓病学会によると、「新型コロナウイルス感染で集中的な治療が必要となった患者を中心に、急性心外傷、不整脈、血圧低下、頻脈が報告されており、心血管の合併症も高い確率で起こっている」という。武漢で150人を対象にした調査でも、心血管疾患の患者がウイルスに感染するとかなり高い確率で死に至るという結果が出た。

心臓と肺は、驚くほど密接につながっている。速く呼吸すれば、脈拍も自動的に速くなる。既に心臓が弱かったり動脈が詰まっていたりすると、体中に血液と酸素を送るために、健康な人よりも余計に心臓が働かなければならない。

インフルエンザ患者が心臓発作を起こすことは、以前から知られている。インフルエンザウイルスが心臓発作の直接の原因ではないかという専門家もいる。2018年に「New England Journal of Medicine」に発表された研究では、インフルエンザと診断されてから7日間は、心臓発作を起こす確率が普段と比べて6倍になると報告されている。

さらに言えば、2種類以上の感染症に同時にかかることもある。武漢での初期調査では、新型コロナウイルス感染者の4%が、別のウイルスにも感染していたことがわかった。そのほとんどはインフルエンザウイルスだった。同時に複数のウイルスにやられれば、疲弊した心臓にかかる負担がさらに増えるのは間違いない。

基礎疾患の自覚のない人にもリスクはある

なかには、心臓に問題があることに気付いていない人も多い。例えば、高血圧が危険因子とされるアテローム性動脈硬化症は、最も一般的な動脈硬化の形態で、血管の壁に脂肪や組織の線維が蓄積してプラークというかたまりを作る病気だ。それが破裂すると、周囲の血管が塞がれて心臓発作や脳卒中を引き起こす。

米医療機関ジョンズ・ホプキンス・メディスンの心臓専門医エリン・マイコス氏は、このプラークや高血圧があっても気づかない人はかなり多いという。米国疾病対策センター(CDC)は、米国人の1億800万人が高血圧だが、少なくとも1100万人が気づいていないと推定している。

そこへインフルエンザやコロナなどの呼吸器ウイルスが入り込むと、免疫が過剰反応して全身に炎症が起こるサイトカインストームを引き起こす恐れがある。武漢では、流行初期に劇症型心筋炎を起こした患者がいたと報告されている。これは、心臓の筋肉がウイルスによって侵食されるまれな症候群だ。

「特に、これまで心臓病の病歴がなかった人の場合、その炎症が引き金となってプラークが破裂することがあります」と、マイコス氏は言う。糖尿病も動脈硬化を引き起こして、プラークが破裂する原因になるという。また、病気のせいで免疫機能が低下している患者もいる。これもまた、感染症にかかりやすい要因だ。

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