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ワインの王様ピノ・ノワール 世界も認めた日本の挑戦

エンジョイ・ワイン(24)

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「ワインの王様」とも言われ、世界的に人気の赤ワイン品種、ピノ・ノワール。日本にも熱狂的ファンが多い。ただ、栽培が難しい品種でもあり、地域や造り手による品質格差が大きいのが難点。そうした中、日本でもあえてピノ・ノワール造りにチャレンジする生産者が増え、世界的に高い評価を得るものも出てきた。先日開かれた「日本ワイン ピノ・ノワール サミット」に出品されたものを中心に、いくつか紹介しよう(3月下旬時点で完売しているものもある)。

ピノ・ノワール サミットは今年が3回目。東京都立産業貿易センター(東京・台東)内の会場では、生産者らによるパネル討論や、海外産を含むピノ・ノワールの試飲会が開かれ、数百人の愛好家が集まった。

同サミット議長でパネル討論のモデレーターも務めた、ワインコーディネーターの石井もと子さんは「カベルネ・ソーヴィニヨンやメルロなど他の主要品種で、こうしたイベントが開かれることは聞いたことがない。仮に開催しても、こんなに人は集まらないだろう」と、ピノ・ノワールの特殊性を指摘する。

ピノ・ノワールはもともと、仏ブルゴーニュ地方のワイン。オークションで1本1000万円以上の値がつくこともある「ロマネ・コンティ」や、皇帝ナポレオンが愛した「シャンベルタン」も、ピノ・ノワールだ。今はフランス以外に、米オレゴン州やカリフォルニア州、ニュージーランド産などが世界的に評価が高い。

食欲をそそる豊かな酸味、イチゴやサクランボといった赤い果物を連想させる魅惑的な香り、味わいにバランスをもたらす柔らかなタンニン(渋み)が特徴で、熟成すると、キノコや和風だしの香りなど、複雑性を帯びてくる。石井さんは「繊細、ち密、エレガントで、飲むとワインの中に引き込まれるような感覚が、日本人の感性や和食と合うのではないか」と、その魅力を分析する。

栽培が難しいとされるのは、病気に弱く、また、本来、冷涼な気候に適しているため、気温が高すぎると持ち味である酸味が失われたりするからだ。とりわけ、雨の多い日本はカビなどにやられるリスクが高い。だが、こうした難しさが、逆に、「生産者のチャレンジ精神をかき立てている」(石井さん)という。

品質が向上している日本のピノ・ノワールの中でも、特に注目を浴びているのが北海道余市町のワイナリー、ドメーヌ タカヒコだ。サミットでも、試飲に長蛇の列ができた。

今年2月、デンマーク・コペンハーゲン市のレストラン「ノーマ」が、タカヒコの「ナナツモリ ピノ・ノワール2017」(希望小売価格3850円・税別)をワインリストに加えたことが、ニュースになった。ノーマは英国の専門誌によるレストラン世界ランキングで何度も1位に選ばれ、世界で最も予約の取れないレストランの一つと言われる。ノーマのソムリエ、アヴァ・ミース・リストさんは、ナナツモリを「素晴らしいフレーバーとブドウの表現力」と高く評価した。

同じく愛好家の間で人気が高いのが、北海道三笠市のYAMAZAKI WINERY(ヤマザキワイナリー)。サミットで試飲した「ピノ・ノワール黒 2018」(2020年8月以降の発売予定)はブドウの成熟をうかがわせるフレッシュな果実味と、冷涼な北海道ならではのさわやかな酸味、ミネラル感のバランスが、際立っていた。

北海道は、かつては涼しすぎてブドウの栽培に不向きと言われていたが、温暖化でブドウが熟しやすくなっている。適度に冷涼な気候を好むピノ・ノワールにとって、ちょうどよい気候となっているようだ。

京都府京丹波町の丹波ワインが造る「京都丹波ピノ・ノワール」も、果実の力強さが特徴だ。内陸の、標高180メートルの高原地帯にある畑は昼夜の寒暖差が大きく、ブドウの成熟に適している。ワインの果実感のカギとなる収穫時のブドウの糖度は最近4年間の平均が23.5度。場所によってはなかなか20度以上に上がらない日本にあって、非常に高い数値だ。

自然環境に恵まれているだけでなく、ブドウが熟し始める夏場に畑にアルミシートを敷き、太陽の反射光をブドウの実に当てて成熟を促進させるなど、手間も掛けている。そうしてできたワインはエレガントな中にも果実の凝縮感があり、米カリフォルニア州やニュージーランドなど、いわゆるニューワールドのピノ・ノワールの印象を受ける。(「京都丹波ピノ・ノワール2017」は希望小売価格3500円・税別)

その対極が長野県東御市のワイナリー、リュードヴァンの「ピノ・ノワール」だ。「目指すべきはブルゴーニュの赤ワイン」と、代表で栽培・醸造家の小山英明さんが断言する通り、引き締まったボディと落ち着いた香りがエレガントさを醸し出し、また、舌触りもなめらか。食事と合わせたくなる1本だ。

高品質の秘密は08年のワイナリー設立以来、積み重ねてきた経験にある。例えば、同じピノ・ノワールでも、遺伝情報の異なる複数の種類を育て、それらを混ぜて発酵させ味わいに複雑さや奥行きを持たせたり、栽培方法を工夫して病気の発生を防ぎ、収穫時期を遅らせることで、ブドウがより熟すことを可能にしたりしている。(「ピノ・ノワール2018」は5100円・税込み)

サミットで試飲した中で個性が際立ったのは、新潟市にあるカーブドッチワイナリーの「2017ふらみんご」(4200円・税別)だ。ピノ・ノワール特有の華やかな香りに酢酸の香りが入り混じり、味わいは非常にジューシー。酢の香りのする酢酸は一般には、醸造の失敗による欠陥臭とみなされている。しかし、世界的に人気が出ているナチュラルワインと呼ばれるワインの中には、酢酸の香りをまとっているものも多く、そうしたワインを求める愛好家は多い。

ふらみんごは天然酵母でなく培養酵母を使用するなどしているため、一般にはナチュラルワインの範疇(はんちゅう)には入らない。だが、ナチュラルワインのような「亜硫酸無添加で体に染み入る優しい味わいを目指して造った」と、醸造家の掛川史人さんは話す。また、掛川さん自身、酢酸の香りが大好きなため、醸造の中で意図的に酢酸を生成させたという。

日本の高評価のピノ・ノワールは、ブドウ栽培家や醸造家が地道に試行錯誤を繰り返しながら品質を高めて行き、愛好家から支持されるようになったものが多い。石井さんは「海外のピノ・ノワールの銘醸地と比べると、日本のピノ・ノワールのレベルはまだまだだが、ポテンシャルは十分ある」と話す。

今後、より多くの醸造家がピノ・ノワールに挑戦し努力や工夫を重ねて行けば、ファンを喜ばせる日本産のおいしいピノ・ノワールは、もっと増えていくことだろう。

(ライター 猪瀬聖)

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