既製スーツに宿る職人の息づかい リングヂャケットニッポン発ラグジュアリー(5)

2020/3/18
「職人技術がはいった既製服、というのが創業時からのコンセプトです」と話すリングヂャケットマイスター206青山店の津田京樹さん(東京都港区のRING JACKET MEISTER206青山店)
「職人技術がはいった既製服、というのが創業時からのコンセプトです」と話すリングヂャケットマイスター206青山店の津田京樹さん(東京都港区のRING JACKET MEISTER206青山店)
「ラグジュアリー」という言葉から連想されるブランドとは。エルメス、シャネル、アルマーニ、ブリオーニ――。それは欧州に集中する。歴史や高度な技術に裏打ちされた最高無比の品質、所有者に夢を与える美しさと心地よさ。そうした条件を備える作り手と創造物が「ラグジュアリーブランド」を公言する。では、日本に同様のブランドを生み出す素地はないのか。そんなことはない。洗練された美意識、精緻なモノづくりの技術、時代を超えて人々を魅了する素材。この国にはあまたの条件がそろう。そして今、まさに「ニッポン発ラグジュアリー」創造への挑戦が始まっている。



「良質な既製服」を提唱、職人をイタリアに派遣し技術習得

ヨーロッパの名だたる生地メーカーや香港の著名ブティックが一目置く紳士服ブランドが大阪にある。リングヂャケット(大阪市)だ。高級紳士服では注文服が全盛の1954年に、「職人が縫い上げる良質な既製服」を提唱して起業。近年はビームスをはじめ日本の大手セレクトショップのスーツの縫製で評価を得て、96年に自社ブランド「リングヂャケット」を立ち上げた。伊「ラルディーニ」や「ベルベスト」のようなファクトリーブランドとして、オリジナル生地の開発や職人技を磨き、国内外のエグゼクティブを魅了している。

現在主力のモデル253のスーツはVゾーンが広め、ボタン位置は下め、ラペルは幅広という、男性らしく、胸まわりを強調したグラマラスなフォルムだ。着てみると体にぴたりとフィットし、軽やかな印象。着心地も楽だ。リングヂャケットマイスター206青山店の津田京樹さんによれば、「スーツを通じて、縫っている職人の姿勢が見えてくるようなモデルです」。

モデル184はベーシックでイタリアのクラシックスタイル。段返り3つボタン、ゴージはやや高め。直線的でバランスよいモデル
モデル253は現在の主力。肩山のシワなど手作業感が出ている。グラマラスなフォルムが特徴だ

確かにこのスーツには職人の息づかいが随所に感じられる。たとえば上着の肩まわり。イタリア系スーツで使われる「マニカ・カミーチャ(シャツ袖)」という仕立ての技法によって、袖付けの部分に人の肌のようなシワが寄る。このシワによって腕の可動域が広がる。

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