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「あんなことができたら面白いな」をカタチに

「あんなことができたら面白いな」をカタチに

「デザイナー」という職業の人たちは、いったいどのように仕事をしているのだろうか。一般のイメージとは異なり、工業製品や商品パッケージをデザインする業務は仕事の一部にすぎないようだ。今回紹介する『問題解決ラボ』は、「クライアントの直面する問題を解決すること」がデザイナーにとって最も重要な仕事だと説く。世界から注目されている日本人デザイナーがまとめた仕事術の本を通じて、成果を出すための役立つ柔らかな発想法を養っていただきたい。

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佐藤オオキ氏

佐藤オオキ氏

著者の佐藤オオキ氏は、仏ルイ・ヴィトンや米アップルなど海外のビッグブランドから次々仕事が舞い込む気鋭のデザイナーです。1977年にカナダで生まれ、2000年に早稲田大学理工学部建築学科を卒業しました。同大学大学院を修了した02年に大学の仲間6人で「nendo」を立ち上げました。現在はデザイン・オフィス「nendo」の代表を務めています。

東京とミラノに拠点を持ち、建築、インテリア、プロダクト、グラフィックなど幅広い分野を手がけています。国際的に高い評価を受けるデザイナーで、06年には「ニューズウィーク」誌の「世界が尊敬する日本人100人」に選出されました。12年にデザイン界のアカデミー賞と言われる「エル・デコ インターナショナル デザイン アワード」の「デザイナー・オブ・ザ・イヤー」を受賞しています。

状況をよくする糸口

タイトルに「問題解決ラボ」とあるとおり、本書はビジネス上の課題の解決方法を様々な実例を交えて紹介しています。5章構成となっていて「問題発見」→「アイデア量産」→「問題解決」→「伝え方」→「デザイン」という順番に展開していきます。まず問題を見つけて、次に解決のためのアイデアをたくさん考える。そして問題の解決法をまとめ上げ、クライアントに伝える(納得してもらう)という流れです。この4つのステップを踏んでいくと、最後には「デザインとはなにか」の本質にたどり着くというわけです。

最初に、本書のゴールである「デザイン」を著者がどう定義しているかを紹介しましょう。「デザインというと、何かハードルが高いように思われがちですが、そんなに特別なことではありません。なにか現状を改善する。なにかしら状況をよくする糸口を見つけるというのがデザインだと思うんです」と佐藤氏は語りかけます。

ページをめくると、デザインするための具体的なノウハウが満載です。それも、1項目あたり4ページ前後のコンパクトな分量にまとめてあるので、すんなりと頭に入りやすくなっています。「アイデア量産」の章を例にとりましょう。項目は「アイデアは探さない」「『チマチマメモ術』でアイデアに化学反応を起こす」「『忘れる技術』で次のアイデアを呼び込む」……といった具合に並んでいます。その一つ「アイデアは『出し方』よりも『出る技術』」から引用します。

今までと違う環境のほうがアイデアが出る、という話をよく聞きますが、自分の場合はまったく逆です。同じことを繰り返すのがすごく心地よくて、同じところで昼ご飯を食べて、同じところに犬の散歩へ行って、同じ喫茶店に行って、同じものを飲む。ルーティン・ワークのリズムを守り、できるだけ変化を減らす努力をします。
 なぜなら、変化というのはストレスを生み出すものでもあるからです。だから、海外に行っても、日本で使っているものをできるだけそのまま持って行きます。
 極力、同じリズム、同じペース、同じことを反復していくことによって、「ここぞ」というときに、ばーんと爆発力が出るのかなという気がするんです。緊張と弛緩の幅が大きいほど筋肉量が出る、筋肉と同じです。脳も多分そうじゃないかという気がしていて、普段はできるだけリラックスさせる、負荷をかけないことが大事だと思います。
(第2章 デザイン目線で考えると、ありそうでなかった「アイデア」が見えてくる 63ページ)

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