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ハーレー初の電動「ライブワイヤー」 パワフルで静粛

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勇ましいエキゾーストノートとともに悠々とクルーズする大型アメリカンバイク。そんな既存のイメージと対極にある電動モデルが、ハーレーダビッドソンから誕生した。果たしてどんな走りが楽しめるのか、スペインのワインディングロードで確かめた。

新しさが伝わるデザイン

2020年2月初旬、スペイン・マラガで開催されたハーレーダビッドソンの国際試乗会に参加した。その眼目はソフテイルファミリーの2020年モデル試乗だったが、2日間のテストライドを終えたあと、短時間ではあるもののハーレー初の電動モーターサイクル「LiveWire(ライブワイヤー)」に乗ることができた。

2014年に「プロジェクト・ライブワイヤー」としてプロトタイプをお披露目し、1年前、ラスベガスで行われる家電見本市「CES 2019」で市販モデルを発表。欧米では2019年秋から販売開始されている。日本人でその市販モデルに乗るのは、今回試乗会に参加したわれわれ(僕を含めた4人)が初めてとなる。

実車を初めて見たときに口をついて出てきたのは「うゎ、カッコいい!」という言葉だった。きっとバイクに興味を持つ10人が居たとしたら、そのうち9人がそう言うだろう。ライブワイヤーはまさにそんな"オーラ"をまとっていた。

"アメリカンクルーザー"の代名詞たるハーレーとはいえ、その車体構成は完全なスポーツバイクだ。アルミフレームを採用し、従来エンジンがあった場所には大きなバッテリーを搭載する。その下にモーターを備え、ベルトドライブを介して後輪を駆動する。エンジンも排気管もないシンプルでスリムな車体デザインからは、これまでのオートバイにはない"あたらしさ"が強烈に伝わる。

右のグリップにあるスタートスイッチを押すと、音もなく"起動"する。クラッチレバーやシフトペダルはないから、このままアクセルをひねれば走りだす。ハーレーのスタッフからは「十分に注意してアクセルを開けろ」と念押しされた。なにしろライブワイヤーは0-100km/h加速3.5秒という最新1000ccスーパースポーツ並みの加速力を持つのだ。

まるで"飛んでいる"かのような……

ワインディングロードを中心に1時間ほど試乗することができた。それは人生で初めての"電動スポーツライド"体験だった。アクセルを戻すと回生ブレーキが利くので、右手首の動きだけで加減速を操ることができる。クルマで言う"ワンペダルドライブ"の感覚だ。アクセルグリップを"ひねる"というアクションは変わらないが、その感覚はジョイスティックで動きを操るコントローラーのようだ。

低い速度域ではモーターのうなりとタイヤからのロードノイズが聞こえてくるが、ある速度域を超えると"風の音" だけの世界になる。まるで自分自身が道の上を"飛んでいる"ように感じられるのだ。それは電気自動車とも異なる、電動モーターサイクルならではの新鮮で感動的な体験だった。

ライブワイヤーはバッテリー充電を最短60分で完了でき、一充電あたりの最大航続距離は235kmという。価格はアメリカ国内で2万9799ドル(1ドル105円換算で約313万円)から。日本での発売および価格については「未定」となっているが、2021年までの導入を目指している、というのがじっさいのところのようだ。

(ライター 河西啓介)

【スペック】
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=2135×--×--mm
ホイールベース:1490mm
シート高:761mm
重量:249kg
モーター:永久磁石電動機
最高出力:106PS(78kW)/--rpm
最大トルク:116N・m(11.8kgf・m)/--rpm
一充電最大走行可能距離:235km(MIC Cityテスト値)/158km(WMTCテスト値)
価格:2万9799ドル(1ドル105円換算で約313万円)
※価格は米国仕様車、その他のスペックは欧州仕様車のもの。

[webCG 2020年3月13日の記事を再構成]

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