加給年金で損しない 請求忘れ・もらい過ぎで返還多発

妻らには年収850万円未満(または経費を引いた所得655万5000円未満)という条件があり、妻の年収が850万円以上の人は加給年金の受給をあきらめがちだ。しかし、おおむね5年以内に退職などで850万円未満に減るのが確実な場合は例外。勤務先から就業規則などに関する証明書をもらい、年金事務所に出せば加給年金がもらえる可能性がある。

老齢年金の繰り下げ受給との関係は要注意だ。基礎年金も厚生年金も受給開始は原則65歳からだが現在、最高70歳まで開始を繰り下げられ、遅らせるほど増額になる。ただ加給年金は厚生年金とセットの仕組み。厚生年金を繰り下げると加給年金はもらえないままになる。加給年金を受けたい場合は基礎年金だけの繰り下げにするのも選択肢だ。

加給年金と、妻がもらう振替加算の関係は図Bのaが基本形だ。ただし妻の厚生年金加入が20年以上の場合、妻が年金の受給権(65歳前の特別支給の老齢厚生年金を含む)を得ると夫の加給年金は停止される。妻自身の厚生年金が多く手当はいらないという理由だ。

要注意なのは妻が受給権を得るまでは夫に加給年金が出ること(図Bのb)。例えば夫が65歳になったとき妻が60歳で、妻の受給開始年齢が63歳であれば、3年間もらえる。

この点も「少し制度を知っている人ほど、妻が20年以上加入なら夫は一切加給年金をもらえないと誤解している」(井戸氏)。その結果「どうせ加給年金はもらえない」と厚生年金を繰り下げてしまい、結果的に加給年金を失うケースも多いので要注意だ。

受給停止は手続き

逆に怖いのはもらいすぎ。妻の厚生年金加入が20年以上の場合、妻の受給権発生時点で夫の加給年金は原則打ち切りになる。これを知らずに受給停止の届け出をしないと払い続けられてしまい、その分は後に返還しなければならなくなる(やはり図Bのb)。対象が妻だけの場合でも5年分なら200万円近い。

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