加給年金で損しない 請求忘れ・もらい過ぎで返還多発

 「こうした過払いは年金事務所ごとに年に数件以上発覚し続けている」と関西地方の年金事務所長は指摘する。受給停止の届け出が必要なことは請求時の書類などに書かれているが、読まれていないことも多い。

 「受給者は怒るが返還してもらうしかない。話し合いで最大5年の分割返還にすることもある」(同)。受給停止の届け出を忘れないようにしたい。

 一方の振替加算。金額は妻の生年月日で異なり、80代は年20万円弱もらえる人もいるが、若いほど減り最低は年約1万5000円。1966年4月以降に生まれた人に振替加算はない。

「年上妻」振替加算は請求が必要

 年上の夫に加給年金がついていれば、妻の65歳時点で振替加算は自動的に出る。気をつけたいのは年上妻。夫が65歳時点で妻は先に65歳を超えているので夫に加給年金は出ない。しかし夫が65歳になると妻は振替加算をもらえる(図Bのc)。この場合は「自動ではなく、夫が65歳になる時点で振替加算の請求をする必要がある」(内田氏)。

 妻が年下でも、基礎年金を繰り上げ受給し夫に加給年金がつく前に妻が年金をもらい始めている場合は、請求しないともらえないことがある。

 都内のある年金事務所の職員は「最近も80代女性で本来なら年20万円弱ある振替加算が十数年分漏れていたのがわかった。時効期間である5年分しか払えなかった」と語る。特に振替加算の金額が大きい高齢女性の場合、疑問があれば積極的に年金事務所に問い合わせることが大事だ。

(編集委員 田村正之)

[日本経済新聞朝刊2020年3月14日付]

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