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年金・老後
野尻さんの定年1年生

2020/3/20

野尻さんの定年1年生

ただちょっと見方を変えると、資産の保守化は意外に簡単なのです。取り崩し時期における資産構成の保守化は、リスクの高い株式などの資産から取り崩すことで自動的にできるからです。例えば私の金融資産を全体で見ると、大ざっぱに言えば半分が株式投信で、半分が銀行預金です。このうち、投信部分をどうやって保守化するかを考えればいいのです。

例えば、投信をその残高の一定率で毎年取り崩すとします。図にそのイメージを示しました。

ここでは、1500万円の投信を65歳から80歳までの15年間で運用しながら取り崩すとしています。取り崩す比率は当初の5年間が8%、その次の5年間が10%、そして残りの5年間が15%です。残高が減ってくる分、引き出し率を引き上げる必要があるからです。それでも不足する分を同じく1500万円ある預金からも引き出して、毎年引き出し額が120万円になるように調整します。

こうした投信分の取り崩しだけのルールを決めて、それを優先的に行っていくだけで、資産構成比率は自動的に保守化されます。当初、投信の資産構成比は50%でしたが、15年の間に、25%程度にまで低下します。金額的にもかなり減りますので、この段階で投信を一気に売却して預金比率を100%に引き上げることも可能になるでしょう。

資産を引き出して生活費に充てていくという段階では、このように引き出しと並行して資産構成比率の保守化を進めることが必要になります。年を取るごとに現預金の比率を高めるルールを定めるわけですね。

野尻哲史
 フィデリティ退職・投資教育研究所所長、フィンウェル研究所所長。一橋大学卒業後、内外の証券会社調査部を経て2006年にフィデリティ投信に入社。07年からフィデリティ退職・投資教育研究所所長。19年にフィンウェル研究所を立ち上げ「複業」をスタート。アンケート調査を基にしたお金に関する著書・講演多数

[日経マネー2020年4月号の記事を再構成]


日経マネー 2020年 4 月号

著者 : 日経マネー編集部
出版 : 日経BP
価格 : 750円 (税込み)


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