働き方より生き方改革 「面白い人」が日本を変えるカルビー元会長 松本晃氏

似たり寄ったりの考え方のおじさんだらけの組織に女性や外国人、若い人たちなど違う個性を入れれば、いろいろな価値観、考え方が生まれて組織が強くなる。それがダイバーシティーです。一方、働き方改革は、労働の評価方法を時間主義から成果主義に変えて生産性を上げるとともに、多様な働き方、生き方を尊重しようというのが本来の目的のはずです。だから僕はカルビー時代、女性管理職をどんどん増やし、子どものいる女性幹部に「午後4時に帰れ」と命じたりしたのです。

残業手当、減った分を成果上げた人に

最近の働き方改革の議論を見ていると、ただ単に労働時間を短くすればいいという方向に進んでいるように見えて違和感を覚えます。

残業が減れば、残業手当を払わなくて済むから御の字と思っている会社もありそうですが、本当は浮いた残業代を成果を上げた社員に回すべきなんです。それが社員のインセンティブを高め、企業を強くするんです。働く人も、労働時間が減った分、自分の時間をもっと有効活用すべきです。ところが、昔ながらの働き方を変えようとしない。これでは、企業も個人もよくなるはずがありません。

そこで僕は、働き方改革に「学び方改革」と「余暇の過ごし方改革」を加え、3つ合わせて生き方改革と呼ぶことにしました。講演などの機会をとらえて、この生き方改革の重要性を訴えています。

働き方改革で増えた個人の余暇時間をどう活用するかは個人の自由です。それを勉強の時間に充てれば、将来必ず自分のためになります。それが学び方改革であり、余暇改革です。僕も大学時代はほとんど勉強しませんでしたが、社会人になってからいろいろと学びました。特に経営者になろうと決めてからは、独学で経理や法律、人事などの勉強をしました。学校だけが勉強の場ではありません。しようと思えば、いつでもどこでもできるんです。

論語に「学びて思わざれば則(すなわ)ち罔(くら)し、思いて学ばざれば則ち殆(あやう)し」という一節があります。勉強しても自分の頭で思考しなければ、学んだ知識は何の役にも立たない。思考するだけで勉強しない人間は独断に陥り危険だという意味です。ビジネスに当てはめれば、勉強しない人間は危なっかしくて経営なんて任せられないよということです。

人生100年時代、学ぶ時間はたくさんあります。それを無駄にしないためにも生き方改革が重要なんです。

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松本晃
1947年京都府生まれ。京都大学大学院修了後、伊藤忠商事入社。93年にジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)日本法人に転じて社長などを歴任した。2009年にカルビーの会長兼最高経営責任者(CEO)に就任。停滞感のあった同社を成長企業に変え、経営手腕が注目されるようになった。11年には東証1部上場を果たし、同社を名実ともに同族経営会社から脱皮させた。18年に新興企業のRIZAPグループに転じ、1年間構造改革を進めたのも話題に。

(ライター 猪瀬聖)

(おわり)

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