そんな偏差値教育は、今は悪でしかありません。個性的で面白い若者が増えるような教育のあり方に変えないと変化は起きない。企業にも日本経済にも将来はありません。「他人と違ってはいけない」という社会の価値観を変えないとだめなんです。

教育、「個性生かす」に軸足を

そのことを強く感じたのは、米国のビジネススクールに3週間ほど短期留学したときでした。伊藤忠商事を辞め、ジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人に入ってから2年後のことです。会社の命令で仕方なく参加しましたが、大変勉強になりました。

ダイバーシティーが会社を強くする

授業は、先生が初めにテーマを発表し、それに沿って生徒が議論を始めます。中国やインドなど世界各国から来た生徒が次々と手を挙げ、好き勝手に意見を述べていきます。僕は気乗りがしませんでしたが、あいつは何もしゃべらないと思われるのが癪(しゃく)なので、時々手を挙げました。そうして2時間、延々と議論し続けて授業は終わりです。

自分の意見が他人とどれだけ違うかなんてお構いなしに、いろいろな視点から多様な意見が出てくるので、聴いているだけでも勉強になりました。それでも最初は、なんで授業の最後にちゃんと正解を示して終わらないのか怪訝(けげん)に思っていました。しかし、そのうちに「ああこれが本当の教育なんだ」と気付いたんです。

日本では、授業というと先生が問題を出して、一部のできる生徒が手を挙げて答え、それでおしまいです。その他大勢の生徒は何もしなくていい。教育というのはそういうものだと、ずっと思っていました。しかし、短期留学を経て、そういうやり方が日本をダメにしているとつくづく思いましたね。

ただ、教育を変えるには、たぶん30年くらいかかります。それを待っていたら日本経済は手遅れになる。では次善の処方箋は何か。それが、僕がカルビー時代に推進したダイバーシティー(多様性)であり、働き方改革です。

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残業手当、減った分を成果上げた人に