紙おむつ復活がリーダーの原点 現場全員と徹底対話花王社長 沢田道隆氏(下)

花王社長 沢田道隆氏
花王社長 沢田道隆氏

日用品国内最大手の花王は、それぞれ年間売上高が1000億円を超える紙おむつ「メリーズ」、衣料用洗剤「アタック」、洗顔料「ビオレ」など、多数の消費者を狙うマス向け商品を強みとしてきた。ところが近年は万人受けしなくても一定の顧客層を狙う「スモールマス」にも注力する。新路線の旗振り役を務める沢田道隆社長のリーダーとしての原点は、低迷するメリーズを復活させた経験にあるという。

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――リーダーとしての原点を教えてください。

「最も印象に残っているのは、2003年に就任したサニタリー研究所長時代です。素材開発研究所室長を務めたあと、初めて商品開発研究のトップの仕事に就きました。紙おむつのメリーズはいまでこそ年間売上高1000億円を超える堂々たるブランドですが、当時は黒字化も難しく、非常に厳しい状況でした。そこで打ち出したのが原点回帰です。メリーズが何のためにあるのかを考え直しました」

「1983年発売のメリーズは、肌がかぶれないおむつを作ろうという発想が出発点でした。赤ちゃんが泣かずにぐっすり寝て、お母さんも笑顔になる。赤ちゃんもお母さんもスマイルスマイルメリーズというコンセプトです。サニタリー研究所長になった当時は競合を意識しすぎてしまったり、自分たちの技術に重心を置きすぎてしまったり、消費者目線から外れてものづくりをしていました」

部下130人全員と個別面談

「ブランド誕生20年、もともとあったメリーズの思いを時代に合わせて見直すタイミングだと考えました。特徴はやはり肌への優しさです。世界で一番肌に優しいおむつをつくろうということで、持てる技術を全てつぎ込みました。次第に自分の思い描いた通りにブランド力が上がり、売り上げや利益が増え、海外にも広がって生産性が上がり――という好循環を生むことができました」

――当時、どのように部下と意識を共有しましたか。

「方向性や戦略を示しても、メンバーのやる気を引き出さなければうまくいきません。そこで、130人全員と個別面談をしました。最初は1人15分程度と考え、2週間ほどで終わる予定でした。ですが、実際やってみると、1時間を超える人もたくさんいました。『仕事はおもしろいか』と質問すると『コツコツ自分の役割を果たして精いっぱいやります』というような答えを多く聞きましたが、実際は自分が思っている以上によく働いてくれている人が多いんです」

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