性悪説「社員管理」の限界 新型コロナで浮き彫りに2020年 変わる働き方(2) リンクトイン・ジャパン代表 村上臣

しかし、全体的な方向感として、なぜ「社員を管理・監視」する方向にいくのでしょうか。それは、会社が社員を信用していない「性悪説」で動いているからに他なりません。その背景には、日本の厳しい解雇規制や、リスクをゼロにしたい文化があると考えています。性善説のスタンスでいて問題が起きたらどうするのか、といった具合です。

欧米の場合、問題を起こした社員は単純にクビにすればよいですし、少数の問題行動を起こす社員のために大多数の社員を抑えつけるようなことは考えられません。生産性の総和が明らかに下がってしまうからです。このあたりの考え方の違いが、労働生産性の違いに直結しているのではないかと思います。

新型コロナが浮き彫りにした社員管理の問題点

社員を性悪説から管理しようとすると問題があるということが、今回の新型コロナウイルスの感染拡大への対応のなかで浮き彫りになりました。例えば、リモートワークの導入によって、管理職が普段何をしているかが分かってしまった一面がありました。管理職もアウトプットベースで評価することを考えていかないと、ただ社員を見回っているだけで実は何もしていない管理職が、社内にあふれてしまうということです。

リモートワークを導入する企業が今後も増えそうだ(大阪市のNTT西日本)

さらにある調査では、新型コロナ対策でリモートワークをしながらも6割の人が「ハンコ」のために出社したのだとか。ハンコがないと稟議(りんぎ)を通らない。このような日本特有の状況は、こういう機会に見直していくべきでしょう。このようなことは今後も起こる可能性が高いわけですから、企業が優先的に取り組むべき課題です。新型コロナによる被害がこれ以上拡大しないことをもちろん望みますが、働き方に良い影響を与えてくれればよいと思います。様々な働き方を実現できるツールがしっかりと適用できているかを見直すいい機会だと思います。

これからも様々な新技術が働き方をアップデートしてくれるものと思います。ぜひ、考え方自体も性悪説から性善説へとアップデートし、だれもが生産性を高められるような方向にいってほしいと願っています。

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村上臣
青学大理工卒。在学中に電脳隊を設立。経営統合した携帯電話向けソフト開発、ピー・アイ・エムとヤフーとの合併に伴い、2000年ヤフー入社。ソフトバンク(当時)による買収に伴い06年、英ボーダフォン日本法人出向。11年ヤフー退社、12年同社復帰、執行役員チーフ・モバイル・オフィサー(CMO)。17年リンクトイン・ジャパン代表。

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