性悪説「社員管理」の限界 新型コロナで浮き彫りに2020年 変わる働き方(2) リンクトイン・ジャパン代表 村上臣

また、職場でのパワーハラスメントを防ぐために必要な措置を事業主に義務付ける、いわゆるパワハラ防止法も6月に施行されます。さらには東京五輪・パラリンピック開催中はリモートワーク(遠隔勤務)を導入する企業が広がりそうです。

日本経済新聞社のコメンテーター、村山恵一さん「さらば我が社ファースト しがみつくのはリスク」という記事で意識改革を勧めていますが、私も3つの理由からこの意見に賛成です。

4月から中小企業も残業時間の上限規制が課せられる(東京・丸の内)

まず、採用時の大前提かつ約束であった終身雇用をやめると言っているのだから、社員も縛られる必要はないということ。次に、社内外を問わず通用するスキルを身に付けていかなければ、今後のキャリア形成が難しくなるだろうということ。最後に、たとえ転職しなくても(M&Aなどで)勝手に環境が変わってしまう時代において、素早く環境に適応するスキルの重要性が高まったこと。

つまり、「我が社」の定義自体がもはや揺らいでおり、しがみついても仕方がないということです。

働き方改革で「社員の管理」はどうなるか

最近は働き方改革の一環として、職場での人工知能(AI)の活用が盛んだと聞きます。例えば、従業員の業務用メールをAIで解析し、談合や汚職などの不正を早期発見するシステムを導入する動きが、日本企業に広がっているのです。

業務用パソコンでのウェブ閲覧やメールなどは、基本的にはログ(通信記録)が取られているものという認識はあるでしょうか。コピーをする複合機にもログ機能があり、コピーやファクスをしたデータというのは一定期間内部に蓄積されています。近年ではコンプライアンス(法令順守)強化のため、主に大企業では当たり前に導入されているものだと思います。万が一のためにログを取っておくのは許容できたとして、自身の生体情報をモニターされるのはどうでしょうか。

例えば、ストレス度が有意に高く、集中度・興味度・わくわく度のいずれもが有意に低い社員が発見されたとして、それを知った会社はどうするのか。配置転換をするのか、人事とは無関係なのかなど、ことさら丁寧な説明が必要になるでしょう。また、残業削減の一環として、社内に監視ドローン(小型無人機)を飛ばすような対策をしている企業もあります。

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