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出産前に次の子、ワラビーのびっくり妊娠 哺乳類唯一

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NIKKEI STYLE

ナショナルジオグラフィック日本版

ほとんどの哺乳類のメスは、おとなになると何度か妊娠を経験する。だが、子どもを産むごとに、その子が育つまでの間、しばらく妊娠しない動物が大半だ。もちろん、一生に1、2回しか子どもを産まないものもいる。

しかし、オーストラリア東部でよく見られる有袋類オグロワラビーの妊娠は常識外れだ。新たな研究から、成熟したほとんどのメスはいつも妊娠しているらしいことがわかった。2020年3月2日付けの学術誌「米国科学アカデミー紀要(PNAS)」に発表された論文によると、オグロワラビーは通常、出産する1日か2日前には次の子を懐妊しているという。

すべての有袋類がそうであるように、オグロワラビー(学名:Wallabia bicolor)もとても小さく未熟な子どもを産む。その子どもは生まれるとすぐに母親の特殊な袋(育児のう)に移動し、そこで母乳を飲んで育つ。論文の共著者で、オーストラリアのメルボルン大学の研究者であるブランドン・メンジーズ氏によると、カンガルーのように出産の翌日に交尾して妊娠する有袋類はいる。しかし、出産する前に別の子を妊娠する例は知られていなかった。

妊娠中にまた妊娠できる動物は、ヨーロッパに生息するノウサギの一種であるヤブノウサギと、このオグロワラビーだけだ。しかし、ヤブノウサギには明確な繁殖期がある。オグロワラビーのように、成熟するとずっと妊娠を繰り返すわけではない。

今回の論文には関与していないが、同じメルボルン大学に在籍しているデビッド・ガードナー氏は、次のように話している。「どんな種が対象であっても、繁殖に関する生物学や内分泌学を理解することで、人類の繁殖にも生かせる教訓が得られるかもしれません」。このような研究が重要なのはそのためだ。

妊娠中に妊娠しない理由

通常、哺乳類のメスは妊娠中に別の妊娠をすることはない。「理由はたくさんあります」と、メンジーズ氏は言う。その一つが解剖学的な理由だ。ほとんどの動物には、子宮は一つしかない。子宮内に成長途上の胎児がいる場合、別の胎児が入り込む余地はない。しかし、有袋類には子宮が2つある。

妊娠が重ならないもう一つの理由は、内分泌系に関することだ。発育中の胎児に栄養を与えるホルモンは、交尾で卵子の受精を促進するホルモンとは異なる(人間の各種緊急避妊薬にプロゲステロンなどが含まれる理由もここにある。このホルモンには妊娠を促進する効果があるが、同時に一時的に排卵を防ぐ効果ももっている)。ただし、オグロワラビーについては妊娠中に別の妊娠をすることがわかっただけで詳しい仕組みはまだわからないと、メンジーズ氏は言う。

驚きの繁殖サイクル

繁殖サイクルが始まるのは、1月か2月にメスのワラビーが交尾したときだ。前年から妊娠していたメスは、その1日か2日後に前年からいた胎児を出産する。生まれた子どもは育児のうに移動し、そこで成長する。新たに受精した胎児(胚盤胞とも呼ばれ、80個から100個の細胞で構成されている)は、子宮内にとどまり、「胚休眠」と呼ばれる休眠状態に入る。

メンジーズ氏によると、その間も最初の子は育ち続け、9月ごろになると、育児のうから出る準備が整う。ちょうどそのころは、南半球に春が訪れて新緑が芽吹く季節だ。

子どもは育児のうで乳を飲むことも徐々に減っていき、12月ごろに乳離れする。このタイミングで、休眠していた胎児の成長が始まり、1カ月後に誕生する。それまでにメスは排卵しており、次の交尾も終えている。

学ぶことはたくさんある

このサイクルは、10匹の飼育されているオグロワラビーに対して超音波スキャンを実施した結果、判明したことだ。年間を通してメスを撮影し続け、交尾のタイミングも記録した。交尾後、2番目の子どもがすでに育児のうの中に入っているときに、10匹中9匹で休眠中の胎児(胚盤胞)を確認できた。

体外受精について研究しているガードナー氏は、胚休眠について理解することは非常に重要なことだと話す。

「この複雑なプロセスを解明できれば、胚を研究所で休眠状態のまま保管できるようになり、低温保存する必要はなくなるかもしれません。有袋類から学べることは、まだたくさんあるのです」

(文 DOUGLAS MAIN、訳 鈴木和博、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2020年3月4日付]

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