中北 会社によりますが、設立間もない会社だと、教育制度がなくて逆に伸びにくかったり、事業内容が転々とするから3~4個のマルチタスクに追われて1個を深掘りすることができなかったりする。成長できるベンチャーもありますが、「ベンチャーだから成長する」とは限らない、と私は思います。横塚さんはどんな成長イメージを持っていますか。
横塚 「横塚さんだから任せたい」と思われるように早くなりたい、というのが最終的なゴールです。
中北 成長欲求が高いんですね。いいと思います。ただ、気を付けておきたいのは「やりたいことをやろう」というメッセージが最近多いでしょ? これは間違いというか、何段階か話が抜けているんですよ。
米国の経営学者が提唱した人材育成の考え方で、「カッツ・モデル」という理論があります。「テクニカルスキル(業務遂行能力)」「ヒューマンスキル(対人関係能力)」「コンセプチュアルスキル(概念化能力)」の3つのスキルセットを育てていく必要があり、経営層に近くなるほどコンセプチュアルスキルが求められます。詳しい説明は省きますが、つまり最初のうちは、目の前の仕事をこなしてテクニカルスキルを磨き、葛藤の中でヒューマンスキルを高めるという2ステップが必要なんです。やりたいことをやるためには、数年は歯を食いしばってやりたくない仕事もやって、自分の能力値を上げないといけない。
大手であれベンチャーであれ、能力のない人が「ありのまま」働くことはできませんという話です。その認識を持ったうえで、大企業もベンチャーも受けて、それから悩めばいいと思いますよ。
「自分らしさ」を言語化
中北 仕事や企業から話は外れますが、横塚さんはどんなことが好きなんですか。
横塚 何でもITを使って便利にするのが好きで。決済もモバイルですし、読書もキンドル派です。
中北 モバイル決済とかは使っている人はわりといますし、何か突出したものはないですか。
横塚 趣味になっちゃうんですが、旅行で安く行ける手段を探すのは得意です。アプリでどの時期にどの国が安いかの目星をつけておいて、4カ月前から航空券の価格をチェックして海外サイトとかと比較していくと、最安値を見つけられるんですよ。
中北 すごいね。旅行が好きじゃないですか。それを仕事にすると自分らしくいられるっていうことにはならないですか。