「自分らしく働く」の落とし穴 就活で必要な仕事観(6)企業選び編

2020/3/27

面接道場

元お笑い芸人で、現在は人材研修などのコンサルティングを手掛ける中北朋宏さんが講師役となって、就活生に面接の極意をフィードバックする連載「面接道場」。今回は、企業選び編。どんな企業を受けるかは多くの就活生が悩むところであり、企業選びの基準は面接でもよく問われる。どんな視点を持っておくべきか、中北氏がアドバイスした。

今回挑戦したのは、立教大学3年の横塚奈保子さん。すでにIT(情報技術)ベンチャーから内定をもらっているが、他にも気になる企業が出てきて就活を継続中だ。

横塚さんの企業選びの軸
・IT関連でこれから伸びそうなトレンドに携われる業界に関心がある
・社風として決断にスピード感があって、個人の裁量も大きい企業がいいと考えてベンチャーを中心に受けてきた
・マーケティングの強い大企業も気になっている

中北 横塚さんはどんな働き方がしたいと考えているんですか。

横塚 ありのままの自分でいられる働き方がしたいです。海外によく行くのですが、フランクなコミュニケーションが好きで、若手でも自分の考えていることを言いやすくて年齢に関係なくやれる会社の方が自分らしくいられるのかなと考えています。

中北 「自分らしく」ってどういうことですか?

横塚 私は田舎出身で都会の人に比べると活発な育ち方をしていると思うので、そういう自由な部分を潰さずに働きたいです。若手のうちは我慢することも大切なのかもしれないですが、自分が苦しんだ状態で与えた幸せよりも、自分が幸せに働きながらそれを相手に還元する方が自分の人生を生きることになるのかなと。仕事を自分が幸せになるための手段という前提で考えているので。

中北 現代的で面白いね。就活はどんな状況なんですか。

横塚 ITベンチャー2社から内定を頂いたので就活終了しようと思ったんですけど、大手企業を知らないままでいいのかと思って再開しました。内定者インターンなどでベンチャーの中に入ってみると、勉強になることはたくさんあるのですが、データやノウハウが蓄積されていなくて、自分でシステムなどを作るところから始めるんですよね。長年継続している会社なら、これってやらなくていい部分じゃないかと思うこともあって……。

ベンチャーだから成長するとは限らない

中北 大手かベンチャーで迷う学生が多いですが、私は基本的に大手を勧めているんです。もちろんベンチャーでやりたいことがあるなら別ですが、学生がベンチャーにひかれる理由が「成長できる」というのがほとんどだからです。

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「自分らしさ」を言語化