新築・リノベ・資金相談 不動産会社は「強み」で選べ不動産コンサルタント 田中歩

2020/3/18
写真はイメージ=123RF
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筆者は不動産仲介の世界に30年近く身を置いていますが、2008年のリーマン・ショック以降、顧客ニーズの多様化が急速に広がってきたように感じています。単なる、売りたい、買いたい、貸したい、借りたいというシンプルなニーズでは必ずしもなくなってきたのです。その一方で、すべての不動産会社が多様化したニーズに的確に対応できているとは限らないという、需要と供給のズレが生じているようです。

多様化する顧客の相談内容

相続で親から承継した空き家を売るべきか、貸すべきかといった相談や、貸すにしてもどの程度のお金をかけて建物を改装したり建て替えたりすべきかといった相談が増えています。また、住まいを売った後、しばらく賃貸住宅で暮らして、値下がりしたタイミングで再び購入したいといった相談も多くなっています。その場合、住まいを売って得たお金はどのように運用すべきかといった相談も必ず付帯してきます。

いずれも、不動産に関すること以外に、建築、お金(費用対効果や投資効果)という2つの要素が大きく関わってくるようになっています。そしていずれの顧客も、いくつかの不動産会社に相談したものの、納得できる示唆が得られなかったというケースが少なくないようです。

立地や建物の状態… 知りたい事柄も増加

かつては、不動産会社といえば売買などの際に権利関係などでトラブルが生じないようにきちんと調査する、建物の建築に関する制限などを事前に調査する、そしてそれを消費者に説明することが一つの役割とされ、消費者にとってもそれで十分だった時代がありました。しかし、平成バブルの崩壊、リーマン・ショックを経て、不動産価格は変動するのが当然と認識されるようになると、値下がりしにくい立地という概念が強く入ってくるようになりました。その影響もあってか、土地の成り立ちと災害リスク、人口動態などに注目するユーザーも増えています。

建築については、かつては新築住宅か中古住宅かという選択が中心でした。しかも新築が主流で、中古住宅は新築には手が出ないから中古を選ぶという位置づけでした。しかし、ここ10年ほどで中古住宅の購入も一般的になり、中古建物のコンディション(劣化状態など)、建物の維持管理費用、リノベーション方法やその費用、用途変更とその費用、マンションであれば管理の状況など、これまで以上に消費者が知りたい事柄は多岐にわたるようになってきました。

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不動産会社にも得手不得手がある
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