相場反転に備える 新型コロナは制御可能(藤田勉)一橋大学大学院特任教授

日米欧の株式相場が急落するなど新型コロナウイルス感染拡大をきっかけにした株安が続いている(2020年3月12日、米ニューヨーク証券取引所)ーロイター
日米欧の株式相場が急落するなど新型コロナウイルス感染拡大をきっかけにした株安が続いている(2020年3月12日、米ニューヨーク証券取引所)ーロイター

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、世界の株式相場が波乱の局面を迎えている。新規患者の発生は中国から欧米など世界の多くの国に広がり、景気への懸念が強まっていることが主因だ。感染拡大が早期に収束する見通しは現時点で立っていないため、世界株が大きく下落する場面は今後もありそうだ。

ただし2020年代はIT(情報技術)の発展による人工知能(AI)革命相場が続き、長期的には大きな上昇過程にあると筆者はみている。08年のリーマン・ショックから10年以上が過ぎて相場は成熟期にあるため、こうした時期に何らかのきっかけが起こると株価は下方にオーバーシュート(行き過ぎ)になるものである。これはITバブルの崩壊やリーマン・ショックなどでも見られた。冷静にデータを分析すると、新型コロナウイルスの感染拡大を材料とした相場の大幅下落は市場が過剰反応しているといえるだろう。

まず年初から3月12日までの主要国の株価下落率をみてみよう。12日は米S&P500種株価指数が取引時間中に7%超下落し売買を一時中断する措置(サーキットブレーカー)が9日に続き発動された日である。年初からの下落率は米国が24%、欧州(STOXX欧州600株価指数)が30%、日本が(東証株価指数)23%である。

過去1年間では米国が12%であるのに対し欧州は22%、日本は17%となっている。米国株が相対的に底堅いのはハイテク株の寄与が大きい。中国の上海総合指数の年初来騰落率が4.2%の下落にとどまっているのも、世界的な通信機器メーカー、中興通訊(ZTE)などのハイテク株が急伸したのが主因だ。

最悪期脱した中国の感染者数

株価予想にあたって重要なのは、先行指標を見つけ出すことである。たとえば半導体市況はハイテク株の先行指標になることが多い。今回の先行指標は新型コロナウイルスの発生源である中国である。中国ではすでに最悪期は過ぎ、感染者数、死亡者数とも劇的に減少している。

ジョンズ・ホプキンス大学システム科学工学センターによると新型コロナウイルスの世界の感染者数は3月1日時点で11万3604人である。1位は中国の8万753人で、以下はイタリア9172人、韓国7478人、イラン7161人、フランス1290人と続く。死亡者数は世界全体で4012人で、このうち中国は3136人と8割弱を占める。

ただし中国の新規感染者数は大きく減りつつある。中国の国家衛生健康委員会によると、3月9日の新規感染者数は19人、死亡者数は17人といずれも50人を下回り、1月の発表開始以来最少の水準となった。韓国の新規感染者数も2月28日(916人)をピークに3月9日時点では228人と減少傾向にある。日本はクルーズ船感染者を除くと511人と世界10位でイラン、イタリアに比べ少なく、増加をある程度抑えられている。

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