打ち合わせはプロジェクトの部品 全体を見て設計せよクリエイティブディレクター 佐藤可士和(3)

自分たちの利益は何か。打ち合わせ相手の利益は何か。やりたいことはどんなことで、やりたくないことはどんなことか。プロジェクトをめぐって、どんな力関係が発生するのか。社内においてプロジェクトはどんな位置づけか。応援者はどのくらいいて、反対者はどのくらいいるのか。それはどういう人たちなのか。

こうしたことを確認しておくことは、プロジェクトを推し進める上で大切です。しかし、打ち合わせが始まる前、あるいは始まってから、これがきちんと整理できる人は意外に少ないものです。相手の利益が漠然としたまま、プロジェクトをスタートさせてしまう。これでは、満足のいかない人も出てきてしまう。うまくいくものもうまくいかなくなってしまうのです。

それぞれの利益はどのようなものなのか。これを探ることができるのも、実は打ち合わせです。ストレートに聞くことができないこともありますが、意識をしておくことです。

そうすることで、全体の目的だけではなく、それぞれにおけるプロジェクトの目的や利益もはっきりと見えてくるものです。

最もやってはいけない打ち合わせは、「とりあえず打ち合わせしよう」でしょう。とりあえず、とはいったい何なのか。何のための打ち合わせなのか、目的がない。これでは、何を決めていいかわからない。何も決まらない、意味のない打ち合わせになる可能性が極めて高くなります。

ところが、これをやろうとする人があまりに多い。「とりあえず打ち合わせ」は自身で封印することです。いつまでに、何を目的に打ち合わせをするのか、それをはっきりさせる習慣をつけたほうがいいでしょう。

POINT
▼打ち合わせの目的を明確にする
▼「ゴールの日にち」を決める
▼「とりあえず打ち合わせ」は厳禁

プロジェクトの全体像は見えているか

プロジェクトの大きなゴールが決まったら、次にそこからざっくり何をすればいいのかを考えていきます。

例えば、あるプロジェクトでは、1年後に新しいブランドコンセプトをリリースすることになりました。そこで、まずは半年間くらいかけて、大きな方針を決めていきましょう、という話をしました。コンセプトをつめていき、スローガンを決め、ロゴを考える、といった作業です。そして、残る半年間で、実際にデザインやプロダクトに落とし込んでいくことにしました。

では、そのために何度、打ち合わせをする必要が出てくるのか。もちろん難易度にもよりますが、その場でおおよその打ち合わせ回数も決めてしまいます。コンセプトを決める打ち合わせを3回、と決めたら、この3回で何をしなければいけないか、考えることになります。

デザインを作ることになれば、プレゼンテーションの時間やチェックしてもらう時間も作らなければなりませんから、もっと多くの打ち合わせ回数が必要でしょう。

これはあくまで例ですので、打ち合わせの回数は本当にケースバイケースだと思います。ただ、大事なことは、ゴールに向かうまでに何が必要になるのか、しっかりプロジェクトの中身を洗い出しておくことです。そうでなければ、スケジュールを決めることはできません。

打ち合わせは単に打ち合わせとして存在しているのではなく、プロジェクトを構成している重要な部品のひとつとして存在しています。その認識で、打ち合わせを設計することが重要になります。

僕がよく喩えるのが、建物の構造計算です。建物を造るとき、いきなり中の部屋から作ることはできません。まずは建物全体から考えないといけない。その上で、これは何をやる部屋、これは何をやる部屋、と中身を作っていく。

これはプロジェクトも同じです。まずは仕事の構造計算をするのです。大きなゴールから、仕事の構造を作り上げていく。何が必要になるのかを洗い出していく。必要なものは、どうすれば手に入るのかを考える。そのために必要な仕事を設計していく。

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