打ち合わせはプロジェクトの部品 全体を見て設計せよクリエイティブディレクター 佐藤可士和(3)

写真はイメージ=PIXTA
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日本を代表するクリエイティブディレクターの佐藤可士和氏。一日の多くは「打ち合わせ」で埋め尽くされているという。30を超えるプロジェクトが常時無理なく動いているという佐藤氏の仕事を支えているのは質の高い打ち合わせだ。文庫化された「佐藤可士和の打ち合わせ」から、同氏が実践する打ち合わせの極意をのぞいてみよう。

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《打ち合わせの設計》
 プロジェクトの「構造計算」をして必要な打ち合わせを洗い出せ

目的のない打ち合わせは、ゴールのないマラソン

「いい打ち合わせ」と「悪い打ち合わせ」は何が違うのか。

極めてシンプルに言ってしまうと、「打ち合わせの目的がはっきりしているかどうか」に尽きます。

目的がはっきりしている打ち合わせは、明らかにいい打ち合わせになる。決めることが明快だからです。一方、目的のない打ち合わせは、ゴールのないマラソンのようなもの。走り始めても、どこに行っていいかわかりません。

大切なのは計画です。ゴールをどこにするのか。どの道を通るのか。どの山を登るのか。それが最初に定まっていないといけないのです。

僕はひとつのプロジェクトがスタートするとき、まずは「大きな方針」をかならず決めます。いつまでに、何をするのか。そうした全体像を、最初の打ち合わせで共有する。最初の打ち合わせを、単なる「顔合わせ」で終わらせてしまっては、もったいないからです。

このとき注意しているのは、真っ先にわかりやすいゴールを設定することです。要するに「いつまでに、どんな結果を出すのか」ということです。

僕はまず、何らかの形で「リリース日」を決めます。大きくても小さくてもいいから、プロジェクトの成果を発表する日を設定する。明確に日にちを決めるということが意外とできていない場合が多いのです。

例えば、漠然と「会社のブランディングをなんとかしたい」といっても、それだけでは、なかなかプロジェクトは前に進みません。だから、リブランディングを象徴するようなリリース日を設定するのです。

決め方としては、「新商品が出る」など、何らかの発表に合わせてしまうこともありますし、きりのいいところで半年後、1年後に設定することもあります。創立記念日や代表的な商品の発売記念日など、記念日をリリース日にすることも少なくありません。

いずれにせよ、何かを発表する日を決める。ゴールを設定する。この一点が打てると、そこから逆算して、いろんなことが決まり始めます。「いつまでに、何をするべきか」が自然と見えてくる。ざっくりとしたスケジュールができていくのです。

もうひとつ、最初の打ち合わせで決めておくべきことがあります。

それは参加者全員の「ベクトル」を、先に設定したゴールに向かわせるということです。

同じプロジェクトを担うことになっても、参加者それぞれに立場や利益が異なることが多いのです。となれば、その立場や利益をお互いに理解して進めなければいけません。

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