iDeCoのメリットは大きい
iDeCoで積み立てたお金は60歳まで引き出せませんが、掛け金が全額所得控除、運用益が非課税、受取時には退職所得控除、公的年金等控除あり……といった税制上の大きなメリットがあります。通常の預貯金よりも、有利に老後の準備をすることができます。
ただし、無制限に積み立てられる訳ではなく、掛け金に上限があります。
・企業年金のない会社員…27万6000円/年
・企業型確定拠出年金のみに加入している会社員…24万円/年
・確定給付企業年金と企業型確定拠出年金に加入している会社員…14万4000円/年
・確定給付企業年金のみに加入している会社員…14万4000円/年
・公務員…14万4000円/年
・自営業者/フリーランス…81万6000円/年
iDeCoでどれくらい資金を準備できる?
では、iDeCoでどれくらいの資金を準備できるのでしょうか。
たとえば、課税所得が500万円で、企業年金のない会社員の場合。掛け金を上限いっぱいの27万6000円/年まで拠出し、年間利回り3%で運用できたとすると、20年間で755万946円、30年間で1340万2948円を積み立てることができます(※5)。
さらに、掛け金は全額所得控除されますので、27万6000円×税率30%=8万2800円。年間8万2800円、支払う税金が減ります(※6)。同額の掛け金を20年間拠出すると、165万6000円。30年間で248万4000円もの節税になります。
まとめますと、20年間で、約756万円の積立金と約165万円の控除。30年間で、約1340万円の積立金と約248万円の節税となります。節税できた金額を、運用益が非課税の「つみたてNISA」で運用すると、さらに有利に資金を準備できます。
(※5)複利で計算しています。
(※6)税率は簡易的に所得税20%、住民税10%の計30%として試算しています。実際には、復興特別所得税が加算されます(2037年12月31日まで)。
繰り下げのデメリットとは 受け取り方には工夫が必要?
ここまで、現在働いている人の対策をご紹介しました。しかし、いざ年金を受け取る際には注意が必要です。というのも、年金からは、所得税、住民税、健康保険料、介護保険料が差し引かれます。こうした税金や社会保険料は、年金を含めた所得の金額、扶養家族の有無、各種の控除、居住している地域などで異なります。
つまり、繰り下げ受給などで年金額が増えれば、天引きされる税金・社会保険料なども増える可能性があるのです。
ただし、年金の受取時期をずらす、といった工夫をすることで、所得を公的年金等控除内に収めることもできます。例えば、妻の約78万円の老齢基礎年金だけを70歳から受け取り、年金受け取り額を110万円にすれば、公的年金等控除内に収めることもできます。
こうした年金の受け取り方については、退職前後に決めても問題ありません。現状、今働いている人は、できるだけ公的年金を繰り下げるために(受給額を増やすために)、企業年金がいくらもらえるかチェックし、iDeCoで資金を積み立てておくとよいでしょう。
