結婚36年、定年退職した夫に幻滅脚本家、大石静さん

脚本家。東京都生まれ。TVドラマ「ふたりっ子」「セカンドバージン」「家売るオンナ」「大恋愛~僕を忘れる君と」「知らなくていいコト」など執筆。
脚本家。東京都生まれ。TVドラマ「ふたりっ子」「セカンドバージン」「家売るオンナ」「大恋愛~僕を忘れる君と」「知らなくていいコト」など執筆。

夫は大企業を60歳で退職し、今は退屈そうな日々を送っています。結婚して36年、仕事でほとんど家にいなかったため、今初めて夫の実態を目の当たりにしている気がします。そして、こんなにも傲慢な人が世の中にいることに驚いています。夫の母が男尊女卑を是としていたので、自分は普通と信じているようです。自分を省みてほしいと思うのはわがままでしょうか。(東京都・60代・女性)

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私も60代ですが、幼い頃、母は父に自分の意見を言うことは一切なく、すべての不満は腹に収めて耐えていました。世間もそれが妻の美徳だと言う価値観でした。

あなたの夫も、そういう時代に育ち、今もその価値観のまま、生きておられるのでしょうか? そんなことはあり得ませんよね。ついこの間まで、会社で働いておられたのですから。

男も育休を取る時代になり、性別に関係なくチャンスは与えられる世の中になったことは、当然知っておられるはずです。

家事労働を一格下に見る考え方なぞ、前時代的であることも、よくわかっておられるはずだと、私は思います。

にもかかわらず、家で退屈にしながら、妻にのみ女は格下的考えを強い、傲慢な態度をとるなんて、とんでもないことです。

平均寿命まで20年以上もあるというのに、我慢し続けるのは辛(つら)すぎますし、アホらしいと感じます。

しかし、あなたもこれまで、子育てや家事が忙しかったせいか、夫も仕事本位で家で過ごす時間がなかったせいか、夫婦で語り合うことを、まったくしてこなかったのではないですか。

外で働く夫だけが尊い訳ではなく、家事をこなし、子育てを担うことの重さを、少しずつでも夫に伝えてこなかったことが、今、あなたを不幸にしているのだと感じます。

このような状況で、あなたの夫がひとりで自らを省みることは、あり得ません。

夫を変えたいと本気で思うなら、今からでも強い覚悟を持って、あなたから語りかけるしかないと思います。

大変な作業だとは思いますが、この先の時間を仲良く、力を合わせて生きるためには、あなたが考えを改め、価値観を変えなければダメなのだ、ということを、根気よく伝え続けるしかないのではないでしょうか。

最初はうるさいと拒否感を表すでしょうが、言い続ければ、少しずつ伝わるかもしれません。

もし、まったく伝わらないなら、そんな夫は捨ててしまえばよいのではないでしょうか?

[NIKKEIプラス1 2020年3月14日付]

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