HKT48の森保まどか ピアノアルバムでソロデビュー
福岡・博多を拠点とするアイドルグループHKT48の森保まどかが、ピアノアルバムでソロデビューした。アルバム総合プロデューサーの松任谷正隆氏を含む5人が、クラシックの名曲カバーと、オリジナル楽曲の2曲ずつをプロデュースする。6歳からピアノを習い始め、多数のコンクールで受賞、2015年の『芸能界特技王決定戦 TEPPEN』で優勝した腕前を持つ森保。日頃親しむ音楽は「ロックからクラシックまで」と話す、彼女の音楽性の幅広さを示す1枚に仕上がっている。
「まず松任谷さんをはじめ、プロデューサーのみなさんが集まって、話し合いから始まったんです。『どんな曲を弾きたいのか』という自分の気持ちを言葉にして、プロデュースしてくださる方たちに伝えるということが初めてだったので戸惑いもありました。
最初は松任谷さんが『方向性を決めていくために、視覚から入りたい』とおっしゃっていたこともあって、『悲愴』のミュージックビデオの撮影からスタートしました。背伸びすることなく、自然体で演じて、ピアノもシンプルに弾いたんです。自分としても、それだけではなくこのアルバム制作は新しいことにも挑戦したいと思ったし、プロデューサーのみなさんも同じように感じられたようでした。そこから急に、『クラシックのカバーだけでなくオリジナル楽曲も』とか『カバーもアレンジを加えて』などが決まっていき、『ピアノを軸に、幅広いジャンルのサウンドを取り込んだ1枚』というコンセプトが固まりました。
アルバムは、私が書いた詩の朗読から始まります。自分の心情に近い、ノンフィクション、フィクション半々くらいの内容です。最初は、『自分の詩をスタッフみなさんに確認していただくことが恥ずかしい』と言っていたら、松任谷さんが『その気持ちはすごく分かります』と、その場で参考になるように、短い詩を書いてくださったんです」
島唄からピアノにつながる
「本間(昭光)さんが手掛けてくれた『17END』は宮古島の夕日スポットをモチーフにした、三味線と島唄から始まって、ピアノのメロディーにつながる楽曲。沖縄から、島唄を歌っていただく方が来てくださって、張りのいい声の収録を近くで聴きながらイメージを作っていきました。
曲名を決めさせてもらった楽曲もあります。『Lotus』は壮大な自然を感じつつ、別れや寂しさも抱くメロディー。私が好きなハスの花言葉は『遠ざかる愛』なので、このタイトルにしました。
アルバムの締めくくりは、松任谷さんが書き下ろした『即興曲#727』です。ものすごくテンポが速くて『本当に弾けるとは思わなかったよ』と褒めてもらえて、うれしかったです。
完成したアルバムを通して聴いてみると、いろいろなジャンルのアレンジを取り込んだ楽曲が、たくさんの枝のように並んでいるけど、どれも自分自身という幹でつながって、大きな1本の木のようになっているなって。今回の経験を通して、コードの勉強をしっかりしてみたくなったし、HKT48の曲をピアノで弾いたり、アレンジしたりなどで、グループにも貢献できたらいいなと思うようになりました」
アルバム総合プロデューサーは松任谷正隆。武部聡志、鳥山雄司、本間昭光、伊藤修平の計5人が全面協力(ユニバーサル/3000円・税別)
(日経エンタテインメント! 伊藤哲郎)
[日経エンタテインメント! 2020年3月号の記事を再構成]
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