マスク、1月下旬に一気に品薄に 転売規制も回復遠く値段の方程式

新型コロナウイルスの影響でマスクが品薄状態になって混乱が続いています。日経POS情報でマスクの店頭の売れ行きを見てみると、1月20日と27日の週に一斉に買われたのが分かります。それ以降は売り上げが落ちていますが、品薄になって店頭に並ばなくなったためです。

政府も対策を急いでいます。メーカーから使い捨てのマスクを一括して買い取り、北海道の感染拡大地域に提供することが決まりました。400万枚、1世帯あたり40枚程度になります。

加えて政府は小売店で購入したマスクを取得価格より高値で転売する行為を禁じるため、国民生活安定緊急措置法の政令改正を決定しました。違反者には1年以下の懲役または100万円以下の罰金を科します。15日に施行しマスクの正常な価格での流通量の回復を目指します。

ただ日本で販売されるマスクの約7割は中国からの輸入品です。日本衛生材料工業連合会(東京・港)によると原料の不織布も輸入に占める中国の割合は46%に上ります。輸入品が出回るようにならないと、品不足は大きくは改善しないとみられています。

マスクは1月20日の週から駆け込み需要が盛り上がった。縦軸は千人当たり金額。同金額は、食品スーパーなどに千人の顧客が訪れた場合、その商品が金額でどれくらい購入されたかを算出した数字。天候要因などによる来店客数の変動に左右されないため、商品そのものの売れ行きをあらわしやすいとされる。

マスクの品不足では、高額転売が問題となりました。多くのマスクがオークションサイトや個人間売買サイトで驚くほど高値で売られました。それ以前のマスクの店頭価格の相場は50枚入り2000円前後。これが、各社が出品規制などに踏み切る前に1万円超えの商品が大半となりました。なんと50枚で2万円以上の値段をつけている場合もありました。

一見、良心的な値段で売っているように見せる業者もいました。例えば「30枚入り400円」とあるマスク。安いと思って買おうとすると小さく「送料が1万2000円」と表示されていました。気を付けていれば間違えて決済しませんが、なぜこんなことが行われるのでしょうか。一つは本体価格をあまり高額に設定するとアマゾンから出品取り消しやアカウントを取り消されることがあるためです。

値段の方程式

BSテレ東の朝の情報番組「日経モーニングプラスFT」(月曜から金曜の午前7時5分から)内の特集「値段の方程式」のコーナーで取り上げたテーマに加筆しました。

加えて販売手数料を安くする狙いもあったようです。アマゾンで何かを売ろうとする場合、アマゾンに販売手数料を支払わなくてはいけない。マスクが分類されている「ドラッグストア」というカテゴリの場合、商品代金にしか手数料がかかりません。商品代金と送料合計で全部で1万円でも商品代金400円ならアマゾンに支払う手数料が安くなります。これを見込んで、送料だけを極端に上げて売る業者が出たようです。

こうした状態を受け、政府はネットオークション各社にマスク出品の自粛を求めました。ただ、抜け穴を突こうとしたのではないか、という事例も相次ぎました。例えばヤフーオークションで文具の落札を装いマスクを取引していると疑われる出品が現れました。ネットユーザーがツイッターなどを通じ「怪しいのでは」と声をあげ、ヤフーは「不適切な商品を出品している」と判断して削除しました。

それにしても「マスクがこんなに手に入りにくくなるとは思わなかった」という人は多いはずです。政府の転売禁止は有効な対策といえますが、1月末には品不足からオークションで値段が高騰していました。やや対応が遅すぎた感は否めません。

(BSテレ東「日経モーニングプラス」コメンテーター 村野孝直)

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