投資の本質 「もうけを増やす」にあらず(澤上篤人)さわかみ投信会長

日経マネー

澤上篤人氏(撮影:竹井俊晴)

澤上 悪いけど、「投資教育」なんて看板を掲げる人たちの多くは、投資というものの本質を全く分かっていない。と言うか、次元が低過ぎる。何なら試しに、周りの投資をしている人たちに「あなたが投資をする目的は何ですか」と尋ねてみるといい。

「経済的自立を達成して、早く引退生活に入りたい」と答える人たちがたくさんいるはずだ。これをFIRE(Financial Independence, Retire Early)とか言うらしいが、何のことはない。自分が幸せになることだけしか考えていないではないか。

そんなもの、投資でも何でもない。闇雲にもうけよう、自分だけ財産を増やそうといくら頑張ったところで、世の中そう甘くはない。だから、大抵の人はいつまでたってもFIREすら達成できない人生を送ることになるのだ。

草刈 お金に不自由しない人生でありたいと願うことは、皆、一緒だと思います。ですが、投資の話になると、どうしても「いかにもうけるか」ばかり考えてしまう。

なぜお金がもうかるのか、その裏側や過程で何が起きているのかまで考えが及ばない。目が行くのは、いくらもうかったのか、どれだけ損をしたのかという結果だけ。

お金のことは周囲に相談しにくいから、どうしても自分のことしか考えられなくなってしまいがち。そこに付け込まれ、詐欺や不正に巻き込まれてしまう人も少なくないと思います。

投資って消費と同様にお金を手放すわけですから、その対価や価値にもっと目を配ってもいいと思うのです。リターンという結果のみならず、そのプロセスや可能性に対してもっと関心を持った方がいい。

もちろん投資である以上、結果が出なくては駄目です。けれど、お金が動くプロセスそのものにも経済的な価値があります。自分の財布の中身がどれだけ増えたかだけでなく、お金が増える過程で、世の中にどれだけプラスの効果をもたらしたか……という視点も投資をしようとする人にとっては大切ではないでしょうか。

投資の真の目的はより良い社会作り

澤上 本当の投資とは、お金にも働いてもらうことなんだ。何のため? もちろん、経済の健全なる拡大・発展のためだよ。言い換えるなら、より良い世の中をつくっていく、もっとすてきな社会を子供たちに残してあげるためなんだ。

我々だって毎日、真面目に働いているが、決して生活のためだけではないはずだよ。本当に生活のためだけだったら、何をやってもいいし、お金さえ稼げばいいとなりかねない。実際、そういう人もいるかもしれないけど、それでいいのだろうか?

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