スーツも志望動機もいらない 「アウトロー就活」って就活探偵団

イラスト=強矢さつき
イラスト=強矢さつき

髪の毛を黒く染め上げ、みんなと同じ紺色のリクルートスーツに身を包む――。こんな型にはまった就職活動のやり方に違和感を持つ学生も少なくない。そんな学生が参加するイベント「就活アウトロー採用」。一見、奇抜なネーミングだが、一体どのようなイベントなのか。就活探偵団がのぞいてみた。

「『信頼』とは何でしょうか」

「『信用』と何が違うだろうか」「信用とは実績を積み上げることなのか、とりあえず信頼してみることなのかな」

2月中旬。都内のイベントスペースでイベント「就活アウトロー採用」が開かれた。参加したのは40人ほどの就職を目指す学生などの若者と6社の人事担当者など。参加者が紙袋からテーマが書かれたカードを引き、それについて学生も人事担当者も一緒になって議論しあう。いわゆる会社説明会なのだが、仕事内容などの話題はこの時点で一切ない。

5~6人で一組の参加者のテーブルを各社の人事担当者が約30分おきに回り交流する。参加者は年齢や出身校を言わない。企業も社名を明かさない。このイベント主催のNPO法人「キャリア解放区」の納富順一代表理事は「出身校や社名を伏せ、哲学的なことを語り、関係性を築くとその人に興味が湧く」と語る。

NPO法人キャリア解放区が運営する「就活アウトロー」の企業セッションでは、菓子をつまみながら自由に語りあうことで、若者と企業がお互いを理解する

和服を着た人も

こうした哲学的な話題のほか、参加者は趣味や興味のあることなど自分のパーソナリティーや考え方を思い思いに伝える。参加者は髪の毛の色は染めていてもいいし、服装も自由。和気あいあいとした雰囲気で、中には和服を着た人や自身の好きなアニメについてまとめたスケッチブックを見せている人もいた。

これが終わると企業の名前が初めて明かされる。人事担当者はプロジェクターを使って、学生たちに向かって自社の会社概要をプレゼン。その後、興味のあった参加者に名刺を渡して、面接の案内などをする。

参加した千葉大3年の女子学生はここで出合ったIT企業など数社と今後面談する予定だ。「普通の人事担当者だとここまで私の話を聞いてくれない。ここでは興味を持って聞いてくれたので、一緒に働いてみたいと思えた」と話す。

就活アウトローは若者と企業をマッチングさせ、内定に結びつけるプログラムで、約2カ月で完結する。2013年にスタートし、これまで7千人近くの若者が参加した。29歳までが対象で利用は無料だ。大学3年生などの新卒就活生のほか、既卒者もいる。

なぜこのような一風変わった就活サービスが生まれたのか。背景を探ると通常の就活の様子がよく見えてきた。人材サービスのリブセンスとHR総研(東京・港)が共同で実施した2021年卒業予定の学生向け調査によると、約7割の学生が就活に不安感を示していることがわかった。不安感を持つ理由としては「面接が苦手だから」が62%と最多だった。

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