高橋メアリージュン 「最強の30歳になりたい」を実現
ドラマ「オペレーションZ~日本破滅、待ったなし~」
いまは新型コロナウイルスの感染拡大などで社会が混乱している時期だけに、政治の役割について改めて考えさせられている人も多いのではないだろうか。そんななか、まもなくWOWOWで放映がスタートするのが、「連続ドラマW オペレーションZ ~日本破滅、待ったなし~」。本作は「ハゲタカ」シリーズで知られる真山仁さんが、国家財政の危機をリアルに描いた衝撃作のドラマ化となる。
舞台は、1000兆円の借金を抱え、国家破綻の財政危機に直面している日本。そのなかで、草刈正雄さん演じる内閣総理大臣が強い信念を胸に国を救おうとする姿が描かれている。今回、特命プロジェクトメンバーの一員で、財務省のエリートでもある中小路流美役に抜てきされたのは、高橋メアリージュンさん。そこで、本作で新境地を切り開いた高橋さんにその思いと、ポジティブな生き方の秘訣を語ってもらった。
ハードルの高い英語でのお芝居は一番の挑戦だった
――社会派のドラマは初挑戦となりましたが、いかがでしたか?
高橋メアリージュンさん(以下、高橋):最初は不安でしたが、いままで勉強不足だったことを学べるいい機会でしたし、自分が成長できるだろうという期待もあり受けることにしました。ただ、専門的な言葉が多かったので、セリフを覚えることと言い慣れるようになるまでがすごく大変でしたね。
――どのようにして練習されたのでしょうか?
高橋:インターネットで調べたり、政治や経済に詳しい友達になるべく会ったりするようにしました。英語を学ぶときと同じような感じですが、たくさん話して、たくさん聞いていると、自然と言葉が出てくるようになりました。
――劇中では、英語でのセリフもありましたが、演じてみてどうでしたか?
高橋:私はハーフですが、ネーティブではないので、正直言って心配でした。とはいえ、ちょうど2年くらい前から「趣味は英語です」と言えるほど英語にスポットを当てて勉強していたので、すごくいい挑戦だなと。ワクワクと不安を同時に抱えながらという感じで臨みました。
――では、英語に関しては準備万全だったんですね。
高橋:はい、良い準備はしてましたね(笑)。ただ、あくまでもお芝居なので、発音をきれいに言うことだけに気を取られてしまわないようには心がけました。
――とはいえ、日常会話とは違うレベルの英語力を求められたと思います。具体的に取り組んだ勉強法はありましたか?
高橋:英会話スクールに行って先生に聞いたり、ハリウッドでもお仕事されていたアクティングコーチに細かい発音の指導を受けたり、あとは映画を見て勉強したりもしました。
――ちなみに、これまではどのような形で英語の勉強をされていましたか?
高橋:学校に通ったこともありましたが、忙しいときは家でできて便利なので、オンライン英会話が中心です。
――今回で海外の作品に出たいという気持ちも高まったのでは?
高橋:私は以前から海外でのお仕事にすごく興味がありましたが、実際に演じてみて本当の難しさを知りました。英語でヒーヒー言っている場合じゃないなと。つまり、英語を自分のなかに落とし込んでからお芝居をしなければいけないというハードルの高さを思い知ったという意味です。ただ、いまはよりがんばらなきゃという気持ちになっています。
英語は私にとって一番の挑戦ではありましたが、これまで怖くて逃げていたものにようやく向き合えました。いつかはぶち当たる壁だったので、いま当たれてよかったなと思います。
難しいことも不可能はないと信じている
――そのほかにも、今回学んだことはありましたか?
高橋:いままで政治については知らないことばかりでしたが、この作品を通して知識が増え、興味を持つようになり、テレビで国会中継をしていれば見るまでになりました。
女子会で友達に政治の話をするとみんなノーリアクションなんですが、私も前はこうだったんだなと考えると少し怖く感じています。というのも、政治家のみなさんが国を動かしてはいますが、国民も一緒に国をつくっていくんだという意識はやっぱり大事なことですから。みなさんもこれがきっかけで考えるようになり、選挙にもちゃんと行こうという気持ちになってくれたらいいなと思っています。
――そういう意識が高まっていくのは大切なことですよね。もし、ご自身が演じられた役に共感したところなどがあれば、教えてください。
高橋:彼女の持つ正義感とか、直面した悲劇に胸を痛めて使命を遂行することに迷う気持ちは、すごく感情移入できたところです。
――実際にそういう思いを味わったこともありましたか?
高橋:少し違うかもしれませんが、私が子宮頸(けい)がんを経験したときに、当時お受けしていたCMのお仕事の関係で子宮検診の重要性について発信できない時期がありました。そのときは、「私が知らせていない間に、検診に行かずに発見が遅れてしまう人がいるかも……」と考えるとつらかったので、そういう思いは近かったように感じています。
――これまでにさまざまな経験をされていることは著書でも公表されていますが、それでもつねに前向きでポジティブでいられる秘訣は何ですか?
高橋:私の好きな言葉は、「Difficult? Yes.Impossible?…NO.」。そこには、難しいことはあるけれど、不可能なことはないと信じたいという気持ちが込められているので、つねにその意識はありますね。なので、「難しいでしょ?」と言われても、「できるでしょ!」と思っています。
――そう思えるようになったきっかけは?
高橋:昔から「どんなにつらいことがあっても、乗り越えたときにいつか笑って人に話しているときが来るよ」と母によく言われていたので、そういう考え方が染みついているのかなとは思います。
でも、一番のきっかけとなったのは、6年ほど前に難病とされる潰瘍性大腸炎になってしまったとき。お医者さんからは「一生治らない病気です」と言われましたが、そこで「誰も治した人がいないのなら、私がその1人目になればいいんだ」と自然と思えたんです。そういった思考のおかげかいまはまったく問題がないので、あのときに諦めていたらもっと悪くなっていたんじゃないかなと感じています。病を公表する場ともなった2018年1月に出版した『Difficult? Yes. Impossible? ...No. わたしの「不幸」がひとつ欠けたとして』(ベストセラーズ)のタイトルにも使っています。
――そういった高橋さんの姿を見て、救われた人も多いと思いますが、公にしたことで変化はありましたか?
高橋:すごくありましたね。私も先が見えないときは本当につらかったですが、同じ思いを抱えている方の姿を見るだけでがんばろうと救われたので、私も誰かに少しでも光を与えられたらという気持ちがありました。実際に、お礼のメッセージとかをいただけると本当にうれしくて、自己満足かもしれませんが、公表してよかったと思っています。
自分を好きでいるためにやりたいことは貫きたい
――いまは本当にお忙しい毎日だと思いますが、ストレス発散などはどのようにされていますか?
高橋:ハマっているのは、キックボクシング。今後は空手のエクササイズにも挑戦したいと思っています。そのほかには、樹木を眺めたりする自然観察が好きなので、明治神宮を散歩したりするのも気分転換になっていますね。
――もともと運動を始めようと思ったのはいつ頃ですか?
高橋:本格的に始めたのは28歳のときで、理由は「最強の30歳になりたい!」と思ったから(笑)。というのも、当時の私は、脂肪が多くて筋肉量が少ないという隠れ肥満の状態だったんです。そこで、30歳までに体重はそのままで筋肉量を増やし、脂肪を減らそうと決意。30歳の誕生日にケーキのろうそくの火を自信持って吹き消すことを目標にしましたが、実際にやり遂げることができました(笑)。
――9年ほど前から美脚ストレッチにも取り組まれているようですが、効果を実感する瞬間は?
高橋:普段の歩き方も教えていただいていますが、お尻が垂れなくなったと思いますし、あとは疲れにくくなったとも感じています。
――ご自身で毎日欠かさずに続けていることがあれば、教えてください。
高橋:いつもテレビを見ながら実践しているのは、お尻を伸ばす簡単なストレッチ。椅子に片足を乗せたあと横に倒して、足の甲の外側とふくらはぎの側面が椅子の面に付くような状態にしたら、反対の足を後ろに伸ばすというだけ。血行を良くすると脂肪が付きにくくなるそうなので、オススメです。
――それくらいなら誰にでも続けられそうですね。ちなみに、今回の作品ではいろんな壁を乗り越えたと思いますが、次の目標は何ですか?
高橋:いっぱいありますが、「結婚しなきゃいけない」とか「子供を産まなきゃいけない」といった「○○しなきゃいけない」という呪縛から解放されること。あとは自分を誰かと比較したりしてしまうこともあるので、比較をしない人にもなりたいと思います。
――それでは最後に、女性たちへ向けてメッセージをお願いします。
高橋:男女に関係なく、自分が思っていることと違うことをしてしまったりすると胸がザワザワしたり、落ち込んだり、泣いちゃったりしますよね? それは結局のところ、誰もが「自分に嫌われたくない」という気持ちがあるからだと思っています。なので、自分が自分を好きでいられるために、自分のやりたいことを貫いていいんじゃないかなというのは伝えたいですね。
監督:村上正典、都築淳一
出演:草刈正雄、溝端淳平、高橋メアリージュンほか
WOWOWプライムにて3月15日(日)より放送開始
毎週日曜 夜10時(全6話)[第1話無料放送]
【ストーリー】
秒単位で増え続けている国の借金はついに1000兆円を超え、日本は国家破綻の危機を迎えていた。そんななか、現職の総理が退陣し、副総理と財務・金融担当大臣を兼務していた江島が内閣総理大臣に就任することに。深刻な財政赤字のなかで、江島は日本の歳出を半分にすると宣言。無謀とも思える計画に、財務省のエリート官僚4人が集められ、「オペレーションZ」と名付けられた特命プロジェクトが始動するのだった。
(ライター 志村昌美、写真 小川拓洋、ヘアメイク 堀 紘輔=+nine)
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。
関連企業・業界