新卒入社の30%が3年以内に退職するといわれる現状を鑑みると、現在の新卒採用が制度疲労を起こしていることは間違いないと思います。「希望の職に就きたい」という学生の声はジョブ型採用への支持といえるでしょう。人材不足で学生優位の売り手市場とされる中で、企業もこうした声に応えるときがきたのかもしれません。通年採用、インターン(就業体験)の拡大もジョブ型採用へのこの流れを後押ししています 。今後、企業が採用を含めた人材マネジメントを抜本的に見直す動きが本格化することでしょう。

グローバル採用が当たり前に

2020年といえば、もちろん東京オリンピック・パラリンピックです。国内のみならず、世界中から日本にゲストがやってきます。初めて日本を訪れる人も多いでしょう。そして「こんなにも街がきれいで安全なんて」と驚いてもらえるのではないでしょうか。さらに「住んでみたい」とも思ってもらえるかもしれません。

実は世界から見た日本は「物価の安い国」になってきています。その割安感が訪日客を増やしている要因ともなっているのですが、その背景にあるのが賃金の伸び悩みです。にもかかわらず、ITやサービス業を中心に人材不足が続いています。

このため、積極的に外国人の採用を進めているIT企業もあります。インドやベトナムなどで先端技術を身につけた専門職の採用が中心ですが、欧米からの応募も数多くあります。ただ、希望者をうまく採用できないことも多いようです。既存の年功序列をベースにした給与テーブルと国際的な相場とが大きく隔たり合意できなかったり、契約書や規定などが日本語でしか用意されておらず決定に至らなかったりしたケースなどがあります。

新型コロナウイルスの感染拡大への対応で大規模な合同説明会は相次ぎ中止となった(2月末、香川大学のキャリア支援センター)

日本の職場はダイバーシティー(多様性)に欠けているといわれています。特にチームに日本人以外がいる機会が少ないため、外国人の受け入れがうまくできなかったという声も聞きます。また、日本では当たり前とされる働き方に、外国人の多くが不満を抱いているのも事実です。フェアな人事評価システムや日常生活も含めてフォローアップする仕組みなど、企業には一層の努力が求められます。

日本人が苦労して英語を学ばなくても、日本語に堪能な海外人材は年々増えています。日本人が英語を学ぶよりもその勢いは速いかもしれません。言語はもはや壁にはなりません。経済協力開発機構(OECD)の調べによると、日本の年間の外国人受け入れ数は2016年時点で世界4位。実はすでに日本は世界第4位の移民大国なのです。今後はこの傾向にも拍車がかかるでしょう。

いずれにしても、国内では採用が難しい専門職を中心に、どの企業でも当たり前のようにグローバル採用を検討し始めるのが、東京五輪が開かれる2020年だと考えています。 この1年で、働き方だけではなく働く環境も、大きく様変わりしていくことでしょう。

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村上臣
青学大理工卒。在学中に電脳隊を設立。経営統合した携帯電話向けソフト開発、ピー・アイ・エムとヤフーとの合併に伴い、2000年ヤフー入社。ソフトバンク(当時)による買収に伴い06年、英ボーダフォン日本法人出向。11年ヤフー退社、12年同社復帰、執行役員チーフ・モバイル・オフィサー(CMO)。17年リンクトイン・ジャパン代表。
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