実は私、あまりに申し訳ないので公式プロフィルには載せていないのですが、新卒で入社した会社を10カ月で退職しています。仕事内容や人間関係には全く不満はなく、たくさんの学びがありました。20年以上たった今でも、役に立っている教えがあるくらいです。当時の上司や部署の先輩たちには、今でも感謝しかありません。にもかかわらず「なぜ辞めたのか」というと、スピード感の違いについていけなかったというのが本音でした。その結果、学生時代にいたスタートアップに戻ることにしました。

よく学生から「学生と社会人では何が一番違いますか」と聞かれます。そのときの回答は「誰も答えを教えてくれない。答えのない問いに対してベストではなくベターな策を、今できる最善の策だと信じてやり続けるのが社会人」としています。つまり、学生のうちに「受け手から作り手側へと視点をシフトする経験」があれば、就活やその後の社会人人生も変わってくると思うのです。

企業と個人の新しい関係性を構築するためには、「就社ではなく、就職」を実現することではないでしょうか。

「就活」の後は「ハイカツ」

就活を終えた後に待ち構えるのが「ハイカツ」です。

ハイカツとは希望する配属先に入るための活動のこと。メンバーシップ型の総合職採用が多い日本企業では、入社式の際に初めて配属先が発表されることも少なくありません。もちろん、社会人経験のない学生の希望だけで配属先を判断するよりも、選考を通じて見極めたポテンシャルを加味した適性で配属したほうが、会社としては最適解に近いのでしょう。

とはいえ、学生側も真剣に企業研究をしながら、業務についても知識をつけて、 入社の日を迎えています。やりたい仕事につけるほうが良いはず。配属先には当たり外れがあるということを皮肉る「配属ガチャ」などという言葉があるほどです。新卒入社での配属に不安を感じている学生は、多いでしょう。

就活が終わっても「ハイカツ」が待ち受ける(千葉市美浜区の幕張メッセ)

一方で、「最初の3年はどんな業務でも与えられた仕事に全力で取り組むべきだ」という声もよく聞きます。それにより自身でも気づかなかった業務に興味やモチベーションを持てることがあるのも事実です。

私自身も新卒入社時に、その経験があります。エンジニア職に応募して入社したものの、入社式のときに発表されたのは営業職。「えっ」と相当驚いたことを、今でもよく覚えています。実際の業務は、顧客の業務課題を解決する技術的ソリューションを提案することでした。いわば、エンジニアの上流工程に近いコンサルティング業務だったので、非常にやりがいがあり、楽しさもありました。前述したように結局は10カ月で退職してしまいましたが……。

次のページ
グローバル採用が当たり前に
ブックコーナー ビジネス書などの書評はこちら