ストを機に男女で支える社会に 駐日アイスランド大使グローバル・ウーマン・リーダーズ・サミット2020

2020/3/16
駐日アイスランド大使 エーリン・フリーゲンリング氏 アイスランド男女平等評議会の事務局長などを経て外務省へ。2018年3月から現職、夫婦で来日した。弁護士資格を持つ
駐日アイスランド大使 エーリン・フリーゲンリング氏 アイスランド男女平等評議会の事務局長などを経て外務省へ。2018年3月から現職、夫婦で来日した。弁護士資格を持つ
日経ウーマノミクスプロジェクト

世界で活躍する女性リーダーの育成の推進に向け、日本経済新聞社は2月10日、「グローバル・ウーマン・リーダーズ・サミット2020」を都内で開いた。アイスランドは男女がともに社会を支える国として知られる。駐日アイスランド大使のエーリン・フリーゲンリング氏が基調講演した。

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男女の社会的性差(ジェンダー)のギャップの小ささでアイスランドが11年連続で世界一となったのは誇らしいことだ。ただ、今の平等は自然に得られたものではない。政府が状況改善のために努力してきたからこそ実現できた。

私が幼い頃、アイスランドは男女格差が大きい国だった。女性は専業主婦か家事の傍らでパートをするのが一般的で、どんなに働いても女性の所得は男性より低かった。

転機となったのは1975年ごろだ。米国でアフリカ系米国人や女性らが権利を主張する活動が起き、うねりがアイスランドにも到来した。

アイスランドの9割の女性が一丸となり、ストライキという手段で平等な賃金や男性の家事参加を人権問題として訴えた。女性が仕事や家事を実際に放棄することで、女性が働かないと社会が回らないという危機意識が生まれた。

国民の半数を占める女性票を取り込むため、政治家も動いた。女性議員は75年にわずか3人だったが、ストライキ後に女性のグループが政党を立ち上げた。育休や平等な賃金などあらゆる女性の問題が政治課題となり、他の政党も女性を候補にするようになった。女性役員の割合を一定以上にするクオータ制や、男女ともに3カ月間の育休を認める制度など、新しい平等の法律が整っていった。

アイスランドには男女の所得格差など今も課題が残る。ただ、75年以降のアイスランドを生きた私は、女性がアクティブに変わっていくのを感じた。今の仕事に就いたのは偶然だったが、大学時代からやりがいのある仕事をして、男性に経済面で依存したくないという思いがあった。

アイスランドは幸福度も非常に優れている。国連の関係団体が出している「世界幸福度報告」は北欧諸国が上位4位を占めており、アイスランドはその一つだ。幸福度を測るのは難しいが、ランキング上位の国々は過去に家族に関する社会政策を積極的に推進してきた点で共通する。

アイスランドでは若い人も女性を見下したり傷つけたりすることはない。もし平等でなければ、間違えているのは女性ではなく社会の側だ、という考え方を持っている。

欧州各国での勤務が多く、日本に着任して日々驚くことばかりだ。人口が多いのに全てが整理されている。人権を守ろうという意思が強い。教育水準が高く男女とも優れた人材がいる。だからこそジェンダー・ギャップ指数が低いことは非常に悲しく感じる。

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ジェンダー・ギャップ指数 アイスランド、11年間1位