無意識の偏見排除 ユニリーバ、採用で性別記載を廃止

2020/3/10
採用過程で性別による差別が根強く残っている
採用過程で性別による差別が根強く残っている

日用品大手のユニリーバ・ジャパンが、全ての採用選考において名前や顔写真など、性別に関する情報の排除に踏み切った。女性の活用は投資家などの間でも関心が高まっているが、進み度合いには課題が多い。決断に至った背景から多くの企業が抱える問題が見えてきた。

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見直すのは最初の登録情報だ。新卒の場合、今後は姓のみ入力し、性別入力はなくす。中途採用では履歴書の提出を求めるが、顔写真や名前、性別の項目を削除した独自の履歴書を用意し、ダウンロードできるようにした。

約190カ国で事業を展開するユニリーバには世界共通の登録フォームがあり、国ごとの変更は難しい。性別は削除できたが姓名は変更できず、姓と名の欄にはいずれも姓を入力させるようにした。中途で従来型の履歴書が届いた場合には、性別関連情報を隠して対応する。目指すは面接より前の段階で生じるアンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)を排除して優秀な人材を確保することだ。

同社は1月、採用の書類審査を担当することがある会社員、経営者424人を対象にアンケートを実施。「採用過程において男性と女性が平等に扱われていない」と思う人は26.6%にのぼり、18%が「応募職種から男性候補者を優先したことがある」と答えた。「写真の印象が採用の有無に影響すると思う」との回答は44%で、根強い偏見の存在が明らかになった。

同社ではこれまでも人物本位の採用に取り組んできた。新卒の場合、最初のゲーム選考は能力や性格を人工知能(AI)が判断。次のデジタル面接でもAIを活用する。採用担当者はアンコンシャス・バイアス研修の受講が必須だ。「登録情報はほぼ見ない」(同社)のに、あえて見直す。消費でも就活でも、選択にあたって若者は「共感」を重視する。偏見の排除と合わせて取り組み姿勢が評価されれば、得るものは大きい。

政府が積極的に進めてきた女性の活躍は近年、投資家などの間でも関心が高まっている。米調査機関のMSCIは、新規採用に占める女性比率や管理職における女性比率などをもとに「日本株女性活躍指数」を算出する。

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