設備の故障や建物の一部が破損した場合は、大家の責任で修繕するのが原則だが、借り主が連絡してもなかなか修繕されないこともある。改正法では、大家に連絡してもなお相当の期間、修繕されない場合は借り主が自ら修繕できると規定した。

最近は大家と直接契約するのではなく、大家から物件を借り上げた不動産会社(サブリース会社)が入居者を募り契約するケースが多い。もしサブリース会社の経営が悪化したら大家に賃料が入らなくなり、大家から直接、借り主に請求が来ることがある。

この場合、借り主に及ぶ債務の範囲を改正法は明確にした(図C)。借り主がサブリース会社に払う月家賃が10万円、サブリース会社が大家に8万円を納めていたケースで大家から家賃を直積請求された場合、借り主は8万円を払えばよい。

ただし借り主が賃料を前払いしていた場合に二重払いになる可能性があるのは現行通りだ。例えば4月分の家賃を3月中にサブリース会社に払った後に倒産し、大家から4月分の家賃を請求された場合、前払いしたことを大家に主張できないことがある。大家がサブリース会社の債務不履行を理由に契約を解除すると借り主は退去を求められる。サブリース契約をする際は経営状態に注意したい。

保証人の責任限定

家を借りるときに身元保証人を立てることも多い。保証契約で保証人は「借り手の一切の債務を引き受ける」とされる例がよくある。改正法では保証人が負うべき責任の上限額(極度額)を定めない場合は無効となり、保証人の責任が限定される。

改正法は4月1日に施行されるため、それ以前に結ばれた賃貸借契約には適用されないので注意が必要だ。金ケ崎絵美弁護士は「賃貸借契約を更新する場合は改めて内容を確認したい」と話す。保証契約について法務省は、限度額の入った契約書で結び直すよう注意喚起している。

(川鍋直彦)

[日本経済新聞朝刊2020年3月7日付]

注目記事