認知症保険、要介護度低いと保障されない場合も

写真はイメージ=PIXTA
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50代後半の男性です。将来、家族に介護の負担をかけたくないので保険加入を考えています。介護保険より保険料が割安な認知症専用保険を検討していますが、注意点はありますか。

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認知症と診断されて介護が必要になった場合に保険金を受け取るのが「認知症保険」です。「介護保険」の一種ですが、要介護の原因を認知症に限定しているのが特徴です。2016年に太陽生命保険や朝日生命保険が販売を始め、その後、生損保各社が相次ぎ発売しています。

商品ごとに給付条件の細部は異なりますが、認知症保険の多くは医師から「器質性認知症」などと診断されたケースを保障します。一定以上の介護認定も必要で、一般的には要介護2以上とする商品が多いです。認知症を発症したものの、自立した生活が送れる人などは保険が給付されない場合があります。

「人生100年時代、介護を受けながら生活する可能性は高まっている」とファイナンシャルプランナーの畠中雅子さんは指摘します。厚生労働省が3年ごとに発表する介護の状況調査によると、要介護状態の人の年齢層で80歳以上の割合は01年には58%でしたが、16年には69%と7割の要介護者が80歳を超えています。つまり要介護状態で長生きする人が増えています。

同調査によると介護が必要になる理由は様々です。要介護になる原因として最も多いのは認知症(18%)で、以下脳卒中など脳血管疾患が約17%、高齢による衰弱が約13%などと続きます。骨折や関節の痛みなどを原因に介護が必要になる人もいますが、認知症保険では認知症を原因としてない要介護については給付が受けられません。

様々な理由の要介護者を保障する介護保険に比べて、認知症に限定した保険の方が保険料は割安です。例えば朝日生命で60歳男性が介護保険に入る場合、保険料は月5815円(一時金100万円と年金30万円のセット)です。一方、同保険の認知症プランだと月4669円(同)で、差額は月1146円。年間1万3752円の差が生じます。

子や孫、親族に将来介護の面倒を見てもらえるという人は、少ない負担で認知症に特化して備える保険に入るというのも一案でしょう。畠中さんは「親族が少なかったりひとり暮らしだったりする人は、どんな原因で要介護になっても保障を受けられる保険で備えたい」と助言します。

貯金が十分にあるから保険加入は不要と考える人もいます。ただ仮に認知症を発症してしまうと、成年後見人の認定手続きが終わるまで銀行口座などからお金の引き出しはできなくなります。介護サービスなどを利用したくても貯金が下ろせなくなるというリスクがあることも知っておきましょう。

[日本経済新聞朝刊2020年3月7日付]

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