過去の評価引きずらない 成長する会社を見分ける条件20代から考える出世戦略(79)

世界でも稀有な仕組みがうまく機能した理由

ほぼ中心に評価が偏っているということは、言い換えるなら「やってもやらなくても評価は変わらない」ということです。よほど優秀だと認められるようなとびぬけた人が高い評価を得て、とんでもないミスをした人や上司にとことん嫌われている人だけが低い評価を得るだけで、そのほかは無難な評価に落ち着いていました。

けれどもそうすることが組織をうまく機能させていたのです。

そこには、新卒採用から定年退職まで流れる川のようなキャリアの中で、ほとんどの人が大過なくすごすための循環の構造がありました。

多少のミスをしたとしても強い叱責は受けない。ただし少しだけしんどい仕事にまわされるかもしれません。けれどもそこでみそぎを終えたらまた普通のキャリアに戻ります。

成功も同様です。称賛されはしますが、評価に大きなプラスにはなりません。そうすることで、同僚や上司からの妬みや嫉妬をさけるような構造がありました。

飛びぬけた一部の人だけが高い評価を得ていきますが「あいつは俺たちとは違うよ」という憧れにも似た気持ちがマイナスの感情をおさえていたのです。

誰もがそこそこ成功してゆく人事の仕組みは、誰も中途でやめないし、中途で採用される人もいない不思議なキャリアの流れがあったからこそ機能していました。

 新卒一括採用、終身雇用、定年退職。

それらが90%のB評価をうまく機能させていた理由でした。

できる人を高く評価することがもたらした組織不和

2020年になる今年においても、新卒一括採用、終身雇用、定年退職、という条件がそろった会社はたくさんあります。

だから、もしあなたの会社がそれらの条件を満たしているのなら、できる人を高く評価し、そうでない人をそれなりの評価にする人事の仕組みは、社内に大きな波風をたててしまうでしょう。結果として差が目立つようになる評価は、これまでの常識をゆるがし、組織風土の破壊をもたらすかもしれません。

なぜなら、一度ついた高い評価や低い評価は、周囲の人の心に大きな影響を与えてしまうからです。良くも悪くも循環し続ける組織の中で、10%を超えて高すぎたり低すぎたりする評価がつくと、組織の中で「普通」であることが薄れてゆきます。

仮に5%が良い評価、5%が悪い評価だとすると、20人の集団に、良い評価と悪い評価が1人ずついる状態が形成されています。それ以外の18人は普通の評価同士なので、良い評価の1人と悪い評価の1人については異端として認めることができます。

けれども仮に20%が良い評価、20%が悪い評価、普通の評価が残る60%だとしましょう。すると同じ20人の集団のうち、4人が良い評価、4人が悪い評価になります。そして12人が普通の評価なのですが、単純化すると、1人が良い評価、1人が悪い評価、3人が普通の評価になってしまいます。このような状態だと、良い評価の人も悪い評価の人も異端とは言えません。むしろ1人の良い評価に対して3人が劣り、誰しもが悪い評価になることを恐れる組織になってしまいます。

実際に多くの伝統的日本企業で成果主義人事が導入されたものの、導入した当初は組織不和を引き起こした理由がそこにあります。そこであえて90%B評価に戻した企業もたくさんありました。

けれども、別の視点で組織を変革し、成長を実現した企業はそれよりもたくさんあったのです。

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