新型コロナ、揺らぐ強権中国の持続性(武者陵司)武者リサーチ代表

中国国家統計局が2月29日発表した2月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は前月比14.3ポイント低い35.7とリーマン・ショック後に記録した2008年11月の38.8を下回り、統計を遡れる05年1月以降で最低となった。2月の自動車販売は23日までで前年同期比9割減ペースだった。しかしこれらは新型コロナウイルス感染拡大の非常事態の下での数字であることを考えると想定の範囲と言えるだろう。

中国は財政・金融政策を総動員へ

感染者数が減少し続ければ4~6月の生産急回復が展望できる。習政権はあらゆる手段を投入してそれを実現しようとするだろう。ブルームバーグ通信は「国家統計局の29日の発表資料によると25日時点でPMIの調査対象のうち中・大規模企業の業務再開率は78.9%で3月末までに90.8%へ上昇する見込み」と報じている。

さらに中国政府は景気対策を発動する可能性がある。国際通貨基金(IMF)の19年10月時点の推計によると、国内総生産(GDP)に対する中国財政赤字の比率は6.1%と急速に悪化しているが政府債務残高はGDP比55.6%と主要国では最低水準であり、財政の余力はある。

金融面では中国人民銀行(中央銀行)は大量の資金を供給するとともに政策金利である最優遇貸出金利(ローンプライムレート、LPR)を引き下げることで企業の借り入れコストを抑え、新型肺炎で打撃を受ける中小企業の資金繰りを支えている。これらに呼応して民間の金融機関も相次いで企業の金融支援を実施している。

こうした動きをみると中国の強権発動が感染拡大を食い止め、景気悪化を抑制できる可能性は高いとみていいだろう。中国をハブとするグローバルサプライチェーンの再構築につながる公算は大きい。

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